本戦1回戦結果

8月3日(土)19時にABEMAで放送されたABEMA本戦トーナメント一回戦 第一試合では、チーム藤井チーム渡辺を、5勝0敗で下し、準決勝に進出しました。

チームメンバーの中でも青嶋六段が絶好調であるため、相手チームにとっては作戦を立てにくいチームと言えそうです。

詳細な結果は以下の表の通りです。

本戦1回戦第1局先手 青嶋未来六段後手 渡辺明九段
第2局後手 藤井聡太竜王名人先手 岡部怜央四段
第3局先手 羽生善治九段後手 山崎隆之八段
第4局後手 青嶋未来六段先手 山崎隆之八段
第5局先手 藤井聡太竜王名人後手 渡辺明九段

チームメンバーの紹介 青島六段

プロ棋士の中でも天才が集まった今回のチーム藤井「藤井聡太竜王名人、羽生善治九段、青嶋未来六段」の共通の趣味は「チェス」です。

9×9の盤面を用いる将棋に対し、チェスは8×8の盤面を使用します。

一見すると大きく異なるように見えますが、どちらも王を詰ますことが勝利の条件であるため、似ている点が多いです。

羽生九段は最近多忙のため、チェスに関わる時間がないようですが、以前は国内最強クラスのチェスプレイヤーでした。その技術を受け継いだのが青嶋六段です。

彼は将棋でも多様な戦法を使いこなしますが、2024年9月にハンガリーの首都ブダペストで開かれる「第45回チェスオリンピアード」に日本代表として初めて出場します。

藤井竜王は、昨年のトークイベントで「時間があればチェスプロブレム(チェス版の詰将棋)を解いています」と語っていました。また、「いつか出場して青嶋六段をチェスプロブレムで倒したいな」とも話していたので、今回の収録の間にチェスで遊んでいたかもしれませんね。

藤井聡太竜王名人の対局2局を振り返ろう

チーム渡辺のエースである岡部四段の特徴は、勉強熱心であり、最先端の将棋に精通している点にあります。

予選では、4勝1敗で予選突破に貢献しました。今回、藤井竜王名人とは初対戦となる将棋を振り返ってみましょう

8七歩

下図は、相掛かりの進行から、藤井竜王名人の得意戦法「8七歩」に対し、岡部四段が1五歩とした局面です。

岡部四段の定石1

ここで場面が作戦会議室に切り替わると、渡辺九段が「この1五歩は定石です」と話し、岡部四段も1秒で指しています。しかし、山崎八段は「こんな手、見たことないよ」と言っており、定石を嫌う山崎八段らしい反応です。

渡辺九段によると、岡部四段も詳しいですが、藤井竜王名人はさらに知識が豊富なので、どのように対応するか楽しみだと語っていました。

ここで藤井竜王名人は時間を使います。早指しでは、研究通りに進めると苦しくなることを承知している藤井竜王名人は、その場で新手を披露します。

その結果、形勢は一気に岡部四段が有利となりましたが、当然、岡部四段も正しい手順を知りません。そのため、いつの間にか形勢は藤井竜王名人が有利となりました。

2ニ歩

藤井竜王名人『2ニ歩』

上図は、岡部四段の飛車に対し、藤井竜王名人が「2ニ歩」と受けた局面です。

素人は「2三歩」として飛車に働きかけたいところですが、本局では、岡部四段が3四の歩を取ると、「2三角」または「1ニ角」と打って飛車と金(7八)の両取りから一気に仕掛ける手を狙っています。

つまり、岡部四段が横歩を取れないようにしているわけです。瞬時に判断できるところがプロです。

8七桂

藤井竜王名人『8七桂』

解説の藤森五段が第一声で「ひょえー」と声を上げた手が、上図の「8七桂」です。同じプロでもなかなか思いつかない手なのでしょう。この手を一瞬で指すことができる藤井竜王名人は、やはり天才です。

7九角

藤井竜王名人『7九角』

上図、藤井竜王名人が『7九角』を指した瞬間、画面は、羽生九段と青嶋六段から笑みがこぼれるシーンに切り替わりました。藤井竜王名人の攻めが完璧すぎて、見ていて凄く楽しいのでしょう。

岡部四段の8八の金がつかまってしまいました。数手後、指す手がなくなった岡部四段が投了しました。流石というしかない、藤井竜王名人の完勝譜となりました。

次戦の相手はチーム永瀬に決定

次戦は昨年度優勝したチーム永瀬と決まりました。チーム永瀬のメンバーは、永瀬拓矢九段、森内俊之九段、増田康宏八段の3名です。

「チーム藤井は最強のチーム。今から頭がいっぱいです」とニコニコの永瀬九段。「厳しい戦いになると思いますが、チーム藤井と対戦するのは今回が初めてですので、ベストを尽くして頑張りたい」と闘志を燃やしていました。

事実上の決勝戦となるこの対局は見逃せません。放送日は8月31日(土)または9月7日(土)の予定です。