藤井竜王への挑戦者決定

第37期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局が8月13日東京の将棋会館で行われました。

後手の佐々木勇気八段(30)が広瀬章人九段(37)に22時14分、138手で勝利し、

第1局第2局と連勝したことで、初のタイトル挑戦を決めました

竜王戦の日程は以下の通りです。

第37期竜王戦日程

佐々木勇気八段との対局を振り返る

藤井聡太四段が作った大記録29連勝

わずか14歳で藤井四段が連勝記録を更新し、

大フィーバーを巻き起こしたのは、もう7年前のことです。

藤井四段はプロ入り直後にこの記録を打ち立てました。

現在でも、プロデビューからの連勝記録第2位が10連勝であることから、

藤井四段が達成した記録がいかに驚異的であるかがわかるでしょう。

この藤井四段の連勝を止めたのが佐々木八段です。

16歳1ヶ月でデビューした佐々木八段にとって、初のタイトル戦への挑戦は待ちに待ったものでした。

以下は、プロデビュー年齢が上位6位までの棋士の一覧です。いずれも偉大な棋士ばかりです。

プロデビュー年齢棋士タイトル獲得数
14歳2ヶ月藤井聡太竜王名人23期
14歳7ヶ月加藤一二三九段8期
14歳8ヶ月谷川浩司十七世名人27期
15歳2ヶ月羽生善治九段(永世七冠)99期
15歳11ヶ月渡辺明九段(永世二冠)31期
16歳1ヶ月佐々木勇気八段0期
プロデビュー年齢上位6名

かおる

渡辺先生の写真が新しくなりました!

かおる

最近、笑顔の写真を掲載する先生が増えてきたように感じるよ。

第1回ABEMAトーナメント決勝

羽生永世七冠から着想を得た『ABAMATVトーナメント第1回』は2018年に開催されました。

この大会は現在とは異なり個人戦形式で行われ、

トップ棋士12名に加えてシード棋士2名を含む計14名が優勝を争いました。

決勝戦では、当時、藤井聡太七段と佐々木勇気六段が対戦し、三番勝負で決着がつけられました。

藤井七段にとっては29連勝が止まった対局以来の再戦であり、非公式戦ながら大きな注目を集めました。

この時点で、段位が逆転している点が非常に印象的です。

第1局は、佐々木八段の先手で「角換わり」に進み、研究手順を披露しました。

佐々木六段の表情には「もう勝ったのではないか?」という自信が見えましたが、

そこから藤井七段の咄嗟の対応で形勢が逆転し、藤井七段が優勢に進めます。

しかし、時間が切迫した最終盤で藤井七段にミスが出てしまい、

佐々木六段が逆転勝利して優勝に王手をかけました。

第2局では、追い込まれた藤井七段が本領を発揮します。

藤井七段が先手番となり、「角換わり」を拒否されるも、

予定の進行ではないながらもある程度の研究がされていたようです。

後手番の佐々木六段は終始、「歩」がないことに悩まされ、

次第に追い込まれ、69手で投了することになりました。

この時、あまりの悔しさから立ち上がれない佐々木六段の姿が印象的でした。

この時点で佐々木六段は圧倒的な力の差を感じていたのかもしれません。

第3局では、先手番が佐々木六段となり、藤井七段にとってやや不利な状況となりました。

将棋は第1局同様に「角換わり」に進むかと思われましたが、

後手の藤井七段が角道を閉じ、「雁木」を目指しました。

中盤は佐々木六段のペースで進みましたが、攻めあぐねている間に藤井七段が先に攻めを開始し、

佐々木六段にとって不本意な将棋となりました。

藤井七段の、攻めだけでなく、守りも堅固であり、次第に優勢を築きます。

それでも佐々木六段はギリギリ耐えていましたが、

最後は藤井七段の鋭い一手で佐々木六段の陣地が崩壊し、藤井七段が勝利して優勝しました。

NHK杯決勝

昨年の3月、NHK杯決勝が放送され、再び、佐々木八段と激突することになりました。

藤井竜王名人にとって、この将棋に勝利することが出来れば、

中原誠十六世名人の持つ年間最高勝率を更新する可能性がありましたが、

ここは佐々木八段に阻まれ、残念ながら記録更新することは出来ませんでした。

NHK杯決勝の記事はこちらから👇

竜王戦の展望

今年度の竜王戦は、藤井竜王にとって厳しい戦いとなりそうです。

挑戦者の佐々木八段は、昨季A級に昇級し、2年目を迎えています。

順位戦でもすでに2連勝を果たしており、

現在の佐々木八段は棋士人生のピークとも言える状態にあります。

これまでの彼の活躍からも、竜王戦に向けて非常に良い調子で臨んでいることが窺えます。

一方で、藤井竜王は今年に入ってから、苦しい将棋が続いている印象があります。

昨年度は、挑戦者の伊藤匠叡王を相手に4連勝で防衛を果たし、

その圧倒的な強さを見せつけましたが、今年度は状況が異なるようです。

藤井竜王はここまでまずまずの成績を収めていますが、

以前のような圧倒的な勝利を連発する姿は少なく、接戦が目立っています。

このような背景を考えると、今年の竜王戦は例年に比べて藤井竜王の苦戦が予想されます。

佐々木八段の絶好調ぶりからすれば、藤井竜王が1敗、あるいは2敗を喫する可能性も否定できません。

しかし、これまで幾多の試練を乗り越えてきた藤井竜王のことですから、

ファンとしてはどのような局面でも冷静に対応し、最終的には勝利を収める姿を期待したいところです。

今年の竜王戦は非常に見応えのある対局となることは間違いありません。