本戦準決勝第一試合 結果

8月31日(土)19時にAbemaで放送されたAbema本戦トーナメント準決勝 第一試合では、

チーム永瀬がチーム藤井を、5勝3敗で下し、決勝に進出しました。

優勝候補同士のガチンコ勝負となりましたが、

チーム藤井は残念ながら力を発揮できず、準決勝で敗退となりました。

しかし、藤井リーダーだけは別格の強さを見せ、ファンを安心させてくれたのは良かったです。

詳細な結果は以下の表の通りです。

本戦準決勝第一試合第1局先手 羽生善治九段後手 森内俊之九段
第2局持将棋後手 青嶋未来六段先手 永瀬拓矢九段
第2局やり直し局先手 青嶋未来六段後手 永瀬拓矢九段
第3局先手 藤井聡太竜王名人後手 増田康宏八段
第4局後手 羽生善治九段先手 永瀬拓矢九段
第5局先手 青嶋未来六段後手 森内俊之九段
第6局後手 藤井聡太竜王名人後手 増田康宏八段
第7局先手 羽生善治九段後手 森内俊之九段
第8局後手 青嶋未来六段先手 永瀬拓矢九段

藤井聡太竜王名人の対局2局を振り返ろう

第3局 藤井聡太竜王名人 対 増田康宏八段

『まっすー』の愛称で親しまれる増田八段と藤井竜王名人は、

これまで何度もこのAbemaスタジオで対局してきました。

初めての対局は、藤井竜王名人がまだプロになったばかりの時で、

その時から増田八段は藤井竜王名人に連敗を重ねてきました。

そんな背景があるだけに、この日の対局前、増田八段は珍しく弱気な発言をし、

それに対して森内九段が「代わりましょうか?」と声をかける場面もありました。

しかし、増田八段は「行きます。プランは一応あるので」と答えます。

今季から順位戦の最高クラスA級で戦っており

来年の名人戦で藤井竜王名人と対決する可能性もあるため、逃げるつもりはないのでしょう。

また、リーダーの永瀬九段とは研究パートナーでもあり、

Abemaトーナメントではチーム永瀬の片腕として奮闘してきたという自負もあるかもしれません。

対局は『角換わり』となりました。

増田八段は逃げることなく、藤井竜王名人に正攻法で挑みました。

この戦型はファンにとってお馴染みのため、なんとなく展開は予想できるものの、

細かい駆け引きがあり難しい将棋となりました。

それにもかかわらず、藤井竜王名人はほとんど時間を使いません。

80手以上進んだ段階で、持ち時間は初期の5分からなぜか6分に増えています。

彼は通常、タイトル戦では時間を惜しまず使うタイプですが、

第一感で指しても信じられないほど強いということです。

藤井竜王名人の手がやっと止まりました。

仲間の青嶋六段や羽生九段が何を指したらよいか全くわからないと言っていますから、

相当難しい局面なのでしょう。その局面が以下の図になります。

藤井竜王名人の手がやっと止まる

かおる

見たことがな局面です。

6五の歩を取ると、6六にふんどしの桂を打たれてしまいます!

『ふんどしの桂』という名前の由来:

桂馬を使って相手の玉をまるで「ふんどし」(日本の伝統的な下着)のように締め付けて逃げ道を塞ぐ様子から来ています。

未知の局面でも両者は最善手を指し続けていました。

しかし、96手目で増田八段がたった一手のミスをしてしまいます。

その後、116手目に控室の画面に映し出されると、

青嶋六段は「上手くできていますね」とコメントし、

羽生九段も笑いながら「毎回このパターンですね」と言いました。

両者が驚くほどの圧勝劇となり、またチーム永瀬の控室は静まり返っていました。

見えている世界があまりにも違いすぎるということでしょうか。

第6局 再び 藤井聡太竜王名人 対 増田康宏八段

チーム藤井としては、永瀬九段に藤井竜王名人をぶつけたかったところですが、

今回はその対戦を見ることは叶いませんでした。次の王座戦を楽しみに待ちましょう。

ここまでの第5局で、チーム藤井は1勝4敗となり、後がなくなりましたが、

ファンとしては強い藤井竜王名人の将棋が見られれば満足です。

第3局に続いて同じ対戦カードですが、先後が入れ替わったため、全く違う将棋を楽しむことができました。

戦型はまさかの「矢倉」となりました。

増田八段は昔、「矢倉は終わった」発言をしていましたが、

この非公式戦で、藤井竜王名人に教わりたかったことがあったのかもしれません。

王位戦第4局では、矢倉を得意とする渡辺九段に対して、一方的な将棋で勝利していました。

※王位戦第4局の将棋はこちらから👇

対矢倉の攻めにも慣れたもので、

本局でも藤井竜王名人は時間をほとんど使わず、少しずつ形勢を良くしていきました。

しかし、54手目【下図の局面】で放たれた一手に、

解説者の佐々木慎七段から「この手はどういうことですか?」と驚きのコメントが出ました。

さらに、控室の画面が切り替わると、羽生九段と青嶋六段からも驚きの声が上がります。

というのも、この局面は増田八段に7二銀を打たれる危険を抱えており、通常ではこれを打たれると形勢が悪くなると教わっているからです。

そのときのAI形勢は藤井竜王名人の64%です。

藤井竜王名人とAIだけは、7二銀を打たれてても問題ないと言っています。

7二銀のキズを無視する藤井竜王名人

上図からわずか10手後には、形勢が藤井竜王名人の80%超となってしまいました。

控室では青嶋六段が「54手目の時点で勝てるとわかっていたんですね」と驚きの声を上げ、

羽生九段も「あの時点で見切られているんですね」と感嘆しました。

そして78手目の手を見て、増田八段はたまらず投了。藤井竜王名人の完勝でした。

2025年もABEMA地域対抗戦 開催決定

来年、ABEMA地域対抗戦が帰ってきます。

今年は藤井竜王名人の大活躍でチーム中部が優勝しましたが、

来年はどうなるでしょうか。

ルールの変更はあるのでしょうか。今から楽しみです。