第72期王座戦第2局が9月18日名古屋市中村区「名古屋マリオットアソシアホテル」にて行われ

先手の藤井王座(22)が永瀬九段(32)に19時48分、123手で勝利し、2勝0敗としました。

本局対局場の「名古屋マリオットアソシアホテル」はJR・近鉄・名鉄名古屋駅直結のホテルで、

名古屋将棋対局場」は目の前にあります。

また、鉄道ファンである藤井王座にとって、このホテルからの眺めは格別でしょう。

部屋からは、名古屋駅に乗り入れる多くの鉄道を見渡すことができ、まさに鉄道パノラマが広がっています。

次戦は9月30日(月)に京都市東山区「ウェスティン都ホテル京都」で開催されます。

王座戦第2局結果

暑がりの藤井王座への配慮?

前日の17日、対局場の検分で思わぬハプニングがありました。

藤井王座が「エアコンの設定温度はどうなっていますか?」と尋ねると、

対局関係者から「16度です」との返答が。

これには藤井王座も思わず吹き出してしまいました。

驚きですよね。

いくら暑がりの藤井王座でも、16度はさすがに寒すぎます。

最終的には「20度くらいで」と調整をお願いしていました。

検分中は多くの人が出入りするため、エアコンの温度調整も一苦労だったのでしょうね。

角換わりの深い研究

開始26分で75手進む

現在の「角換わり」研究の最先端を走るのは、藤井王座伊藤叡王永瀬九段の3名です。

本局は開始26分で75手も進んでしまいました。

「横歩取り」という戦法だと、70手程度で決着がつくことも珍しくないだけに、

彼らの研究量にはいつも驚かされます。

この75手の局面では前例が3局ありました。

角換わり75手目までの研究手順

かおる

75手目まで一手のミスもなく指し続けることは、アマチュアにとっては非常に難しいことです。

永瀬九段の研究

76手目「9五歩」で前例から外れます。

永瀬九段はここまで7分で指していますから、研究してきたことは明らかです。

AIの次善手の手であり、今日はこれで勝負しましょう、という永瀬九段からのメッセージです。

この手を見た藤井王座は、あぐらになり、じっくり考えますよ、という合図を出しました。

視聴者もリラックスし、藤井王座の次の手を予想します。

予想すると言っても、多くの視聴者はAIの最善手「4四歩」を指すか、指さないかを見守ることになります。

すると57分後、藤井王座はこの「4四歩」を指しました。

視聴者はほっとしますが、これだと永瀬九段も予想通りということでしょう。

待ってばかりと言わんばかりに永瀬九段は次の手を25秒で指します。

95手目永瀬九段の研究

永瀬九段の誤算

80手目の「8五桂」まで、永瀬九段はわずか7分しか使っておらず、その自信が伺えます。

相当な研究を積んできたのでしょう。

一方、ここで藤井王座はさらに長考を重ね、ファンとしては少し不安になってきました。

すでに時間差は1時間以上に広がり、

藤井王座の負けパターンである時間切迫によるミスが懸念されるからです。

しかし、ファンの心配をよそに集中する藤井王座は、

ここでも51分を費やして「4六香」という意表の一手で銀を取らせる手を指しました。

8六桂馬への藤井王座の対応

この手に対して、永瀬九段は初めて長考し、1時間14分の時間を使いました。

これほどまでに時間をかけたということは、まったく予想していなかったのでしょう。

永瀬九段としては、7六の銀は逃げてくれると考えていたに違いありません。

というのも、銀が桂馬で取られると、そのまま王手になるからです。

実際、AIも逃げる手を予想しており、逃げなければ評価値が3%ほど下がると示していました。

藤井王座が、評価値が3%も下がる手を指すとは思っていなかったでしょう。

しかし、藤井王座は銀を逃げずに攻めに転じました。

これは永瀬九段にとって大きな誤算でした。

永瀬九段は、自分がわずかに有利であることを理解していたはずですが、

具体的にどう指せばよいかまでは研究していなかったようです。

ここから先は、両者の真の実力が試される、本当の勝負となったのです。

勝負メシ

藤井聡太王座のランチ永瀬拓矢九段のランチ
名古屋コーチンの天津飯 香港点心師の点心三河一色産のうなぎのひつまぶし
藤井王座は天津飯を注文するのは初めてでしょうか。
ふわふわの卵と、絶妙なあんが魅力ですね。
「かおる」も食べたい
薬味やお茶漬けスタイルで味の変化も楽しめる贅沢なひつまぶし。
うなぎの豊かな旨味が広がり、最後まで飽きることなく堪能できるでしょうか。
「かおる」も食べたい

午後のおやつ

藤井聡太王座のおやつ永瀬九段のおやつ
パイナップルパン 中国茶セットシャインマスカットエクレール 
アップルジュース、グレープフルーツジュース
表面はサクサク、中がふわっとしていそうな美味しそうなパンですね。
贅沢なティータイムです。
「かおる」も食べたい
フレッシュなシャインマスカットの甘さとクリームのなめらかさが絶妙に調和した爽やかなスイーツ。
定番の飲み物2つは、異なるテイストで口をリフレッシュできる永瀬九段らしいこだわりのスタイル。
「かおる」も食べたい

かおる

藤井王座のパイナップル好きは有名です!

以前「プチパイナップルパフェ」を注文されていましたし、

クラウドファンディングでは「パイナップル星からの使者」というキャラクターをデザインされていました。

夕食休憩

藤井聡太王座の軽食永瀬拓矢九段の軽食
ローストビーフ丼 名古屋コーチン卵の温玉乗せ
アイスティー
マリオットバーガーセット
アイスコーヒー
柔らかくジューシーなローストビーフがたっぷり乗った丼に、
濃厚な名古屋コーチンの温玉がとろりと絡み、
絶妙な一体感を生み出します。
「かおる」も食べたい
ボリューム満点で満足感たっぷりの一品です。
「かおる」も食べたい

ここで5八玉?

研究将棋を離れてすぐに永瀬九段にミスが出てしまい、

形勢は藤井王座の優勢に傾きました。

終盤、攻めるしかなくなった永瀬九段は、3四に角を打ち、王手をかけます。

角の王手に5八玉

この局面で、王手への対応は2つの選択肢に絞られます。

①「5六歩」と上がって角道を遮断する手。

②「5八玉」として玉を逃がす手。

②の手は、7八の金をタダで取られる上に馬ができてしまうため、通常は指しにくい選択です。

しかし、藤井王座はあえて②を選びました。

まるで「7八の金を取れば詰みますよ」と相手に伝えるかのようです。

この逃げ方一つを取っても、藤井王座の読みの深さが際立ちます。

かっこよすぎる投了図

最後は、詰将棋作家でもある藤井王座による、

あまりにも鮮やかな「2五角」の一手で、永瀬九段が投了しました。

通常、見かけない図面です。

なぜなら「2五角」は「2四香」でタダ取りされてしまうからです。

そんなタダで取られる位置に、藤井王座が打ち込んだことで、

永瀬九段も思わず頭を下げるしかなかったのでしょう。

投了図 香車の頭に角を打つ