10月2日に行われた棋士編入試験第2局で、
西山朋佳女流三冠が試験官の山川泰熙(たいき)四段(26)と対局し、105手で投了、
残念ながら勝敗は1勝1敗となりました。
第3局の試験官は前期の新人王、上野裕寿四段になります。
戦型は得意の先手「中飛車」
第1局を勝利し、迎えた本局で選んだ戦法は、得意の先手「中飛車」
一般に、先手「中飛車」といえば、攻撃的な戦法というイメージがあります。
しかし、西山朋佳著『実践で学ぶ振り飛車の勝ち方』には、
先手「中飛車」は手厚く勝つ戦法であると記されています。
この戦法では、玉周辺がやや薄くなるものの、中央を手厚く指すことで、
相手に仕掛けられるリスクを減らすことができる、という主張です。
大事な対局である今回は、自信があり、なおかつ安全とされるこの戦法を選択したようです。
山川四段、想定内の展開か? 後手超速の攻防
山川四段は、想定通りの展開だったでしょうか。
後手番の西山女流三冠は、藤井聡太竜王名人も得意とする「後手超速」という急戦策で対抗しました。
序盤はお互いほとんど時間を使わずに進行し、緊張感のある展開に。
西山女流三冠も、この局面に警戒を強め、次第に時間を消費していきます。
40手目に入ったところで、山川四段が放った「5五歩」は、西山女流三冠の飛車を狙いに行く一手でした。
この手が指された瞬間、対応が難しく、西山女流三冠にとって大きな分岐点となったようです。
ここからは、山川四段が西山女流三冠の反撃の余地を完全に封じ込め、圧勝を飾る結果となりました。
奨励会を退会した中七海さん、女流棋士の新たな注目株に
9月に奨励会を退会した中七海さんの今後の動向に、多くの注目が集まっていました。
現在、女流棋士では福間香奈女流五冠と西山朋佳女流三冠という2強が君臨しています。
この2人はいずれも元奨励会三段で、女流棋士の中でも群を抜いた存在です。
そのため、これまで女流棋界の8つのタイトルは、2人で分け合ってきました。
しかし、ここに3人目の元奨励会三段である中さんが加わったことで、
女流棋界がさらに盛り上がることは間違いありません。
中さんは「心機一転、前向きな気持ちでがんばります。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」とコメントしています。
かおる
奨励会三段から、1年にプロ棋士になれるのは、わずか4人のみです。
この三段のレベルは、ほぼプロ棋士と同等と言われるほど高いものです!