第74期王将戦第4局が2月15日・16日に大阪府高槻市「摂津峡花の里温泉 山水館」で行われました。

後手の永瀬拓矢九段(32)藤井聡太王将(22)を18時28分、124手で下し、

シリーズ成績を1勝3敗としました。

次戦、第5局は3月8日(土)から9日(日)にかけて、

埼玉県深谷市血洗島の旧渋沢邸『中の家(なかんち)』で開催されます。

第74期王将戦第4局2日目

AI最善手を指し続ける両者

封じ手は予想通りの△1三香。

前日、時間を多用した藤井王将ですが、この展開は予想していたようで、ほとんど時間を使わずに指し続けました。

封じ手から11手目に永瀬九段が△4四歩を指し、これが最善手で角の効きを封じる一手となりました。

ここでようやく藤井王将が手を止め、約50分間もさらに先の局面を確認しました。

現段階で、両者はAIが示す最善手を追っており、非常にハイレベルな対局が展開されています。

視聴者もAIの手を先読みしますが、ここまで予測通りに進むのは珍しいです。

86手目には永瀬九段がAIが推奨する最善手である△7四角を指しました。

かつての永瀬九段であれば、守りの手を選び形勢を悪くすることもありましたが、今回の手は攻めの姿勢を示しています。

攻めの手▲7四角を指す永瀬九段

午前のおやつ

藤井聡太王将のおやつ永瀬拓矢九段のおやつ
和菓子「秀吉」とリンゴジュースあまおうタルト、
ブラッドオレンジソーダ、ホットミントティー
「秀吉」は、上質な抹茶を使ったあんが特徴の和菓子です。
この和菓子の繊細な甘さと抹茶のほろ苦さが絶妙に調和しており、
上品な味わいが楽しめます。
「かおる」も食べたい
前日に引き続き、あまおうを注文しました。
その見た目の美しさと、
食べたときの爽やかさがとてもリフレッシュできる一品です。
「かおる」も食べたい

ランチ

藤井聡太王将のランチ永瀬拓矢九段のランチ
ミニ天丼とぶっかけとろろそばキジ鍋膳とホットストレートティー
天丼はサクサクの天ぷらが乗っており、
一方でとろろそばは滑らかな口当たりが特徴です。
麺類を好む彼の嗜好を反映した選択で、
どちらも満足度の高い一食です。
「かおる」も食べたい
2日連続の注文となるこの食事は、
キジ肉の深い旨味と野菜の風味が楽しめる鍋と、
すっきりとした味わいのホットティーが組み合わさって、
心も体も温まる一食となったでしょう。
「かおる」も食べたい

本局、初の王手

15時15分、藤井王将が▲2二香で王手をかけました。

対応する手は「同玉」または「同金」の2択になります。

「同玉」を選ぶと、▲4四角で王手角取りとなりますが、「同金」を選ぶと中央の守備が手薄になり、指しにくい手です。

本局、初の王手

23分の深い考慮の末、永瀬九段は「同金」という手を選びました。

一般にこの手は壁形を形成し指しにくいとされていますが、彼にとっては両取りのリスクを避ける方が重要だったようです。

一方、藤井王将はこの「同金」を予測していなかった模様です。

25分の思案後、藤井王将は▲4三歩を打ち、新たな拠点を築きました。

▲4三歩と拠点を築く藤井王将

夕方に入り、永瀬九段 優勢

▲4三歩の一手に対して、永瀬九段は意外な△5二金で応じました。

この手が藤井王将の計算違いとなったのでしょうか。

2二の金ではなく、6二の金を寄せたこの対応に、藤井王将は苦慮し、持ち時間を残り10分となるまで考え抜きましたが、

有効な手を見つけることができませんでした。

結果として、▲3四銀の一手で永瀬九段が優勢に立ちました。

永瀬九段優勢

99手目で藤井王将は▲5一銀不成とし、次に▲4二歩成で詰めろの局面を作り出しました。

この危機的状況に対し、永瀬九段は△4一香を打ち、必死で防御しました。

この香車の一手は見事な受けで、他の手を選んでいたら再逆転の可能性もあったでしょう。

しかし、この手のおかげで永瀬玉は攻めきれず、代わりに藤井玉がかなり不安定な状態に陥りました。

永瀬九段の絶妙の受け

ついに永瀬九段に反撃の手が回ってきました。

△6九銀から必死がかかります。

本局では、最終盤まで藤井王将が巧みに指していましたが、勝利まであと一歩のところで逃してしまいました。

これで王将戦の成績は3勝1敗となります。次局は後手番ではありますが、ここで勝利を決める可能性が高いでしょう。