第73期王座戦の第2局が9月18日、兵庫県神戸市の「ホテルオークラ神戸」で行われ、

後手の伊藤叡王(22)が、藤井王座(23)に116手で勝利しました。

20時48分、藤井王座の得意な「先行逃げ切り」を阻止し、終盤力で勝る伊藤叡王が見事な逆転勝利を収め、これで対戦成績は1勝1敗となりました。

名実ともにトップの二人の対局は、最終盤まで目が離せない熱戦でした。

第73期王座戦第2局

両者の最新研究

永瀬九段との対局では、相早繰り銀相腰掛け銀の戦型が多かったですが、

伊藤叡王は藤井王座の腰掛け銀に対し、あえて早繰り銀を目指しました。

後手番対策として、十分な準備をしてきたことがうかがえます。

早繰り銀 対 腰掛け銀

38手目、伊藤叡王が△9四角と信じられない場所に角を打ち込みます。

控室の棋士たちも驚きの声を上げたが、藤井王座はわずか3分という短時間で桂馬を跳ねて応じました。

両者の最新研究がぶつかり合う、ハイレベルな一局です。

意表の角打ち

ランチ

藤井聡太王座のランチ伊藤匠叡王のランチ
淡路島産オニオンのハヤシライス
アイスストレートティー
神戸ビーフの赤ワイン煮込みオムライス
黒ウーロン茶
じっくり煮込まれた玉ねぎの甘みがとけ込んだ、まろやかなハヤシライスは、
まるで心までほぐしてくれるようです。
研ぎ澄まされた集中力を使う対局の合間に、優しく寄り添うような、
心安らぐ一皿だったのではないでしょうか。

「かおる」も食べたい
とろとろの卵に包まれたオムライスは、
じっくり煮込まれた神戸ビーフがとろけるような柔らかさ。
深いコクと上品な香りが口いっぱいに広がり、
心も満たされるような、贅沢な一皿だったようです。

「かおる」も食べたい

形勢動く

昼食休憩を挟み、1時間38分に及ぶ大長考の末、伊藤叡王は△6六銀と出ました。

解説陣は△5六歩と突いてから銀を繰り出す手を予想していましたが、

実戦は相当難しかったようです。

この一手で、形勢がわずかに藤井王座に傾きました。

形勢動く

おやつ

藤井聡太王座のおやつ伊藤匠叡王のおやつ
かぼちゃのロールケーキ
フレッシュオレンジジュース
オペラ
紅茶(アイス)
ふんわりとした生地でかぼちゃの優しい甘みが包み込まれ、
ひとくち食べるとほっとするような、
温かい気持ちになる一品です。

「かおる」も食べたい
幾層にも重なったチョコレートとコーヒーの風味が、
口の中で豊かにとけ合うオペラ。
対局の緊張感を、そっと解きほぐしてくれるような、
深く繊細な甘さが魅力的なひとときとなったことでしょう。
「かおる」も食べたい

夕食

藤井聡太王座の夕食伊藤匠叡王の夕食
五目あんかけ焼きそば、黒ウーロン茶
マンゴープリン
五目あんかけ焼きそば、黒ウーロン茶
マンゴープリン
藤井王座の好物である麺類で、
長時間の対局で消耗したエネルギーを充填。
熱いあんかけとパリパリの麺が、
終盤戦に向けた活力を与えてくれたことでしょう。
「かおる」も食べたい
パリッと焼かれた麺に、熱々のあんがたっぷりとかけられ、
海鮮や野菜のうまみがとけ合います。
長時間の対局で疲れた身体に、優しさと活力をくれるような、
心も満たされる一品だったでしょう。
「かおる」も食べたい

伊藤叡王の粘り

75手目、藤井王座が龍を切った時点では、勝率が78%となり、楽勝かと思われました。

しかし、伊藤叡王の△2二銀引が藤井王座の読み筋を狂わせたようです。

この一手で形勢は一変し、持ち時間もほぼ互角に。

どちらが勝ってもおかしくない混戦模様となりました。

伊藤叡王の終盤における粘りの強さが、藤井王座を追い詰めた瞬間でした。

伊藤叡王の粘り

1分将棋に入り、痛恨のミス

時間では優位に立っていたはずが、先に1分将棋に追い込まれてしまいました。

終盤力に定評のある藤井王座とはいえ、持ち時間が1分しかない中で最善手を指し続けるのは至難の業です。

105手目に▲3六歩と飛車先を止めたのが痛恨のミス。

すぐさま自身の失敗に気づくも、もはや形勢を覆すことはできず、116手目△3七馬を見たところで無念の投了となりました。

この結果、五番勝負は1勝1敗のタイに戻りましたが、

本局も序盤から中盤にかけての指し手は高精度で、次局以降に不安は一切ないでしょう。