予選Aリーグ2位決定戦 各対局の結果
3月16日(土)19時からABEMAで放送されたABEMA地域対抗戦では、チーム関東Aが、監督も務める羽生先生の4連勝により、本戦進出を決めました。
詳細な結果は以下の表の通りです。
予選Aリーグ2位決定戦 | 第1局 | 〇 | 後手 佐々木勇気 | 先手 小山怜央 |
第2局 | ● | 先手 佐々木勇気 | 後手 戸部誠 | |
第3局 | 〇 | 後手 羽生善治 | 先手 戸部誠 | |
第4局 | 〇 | 先手 羽生善治 | 先手 野月浩貴 | |
第5局 | 〇 | 後手 羽生善治 | 後手 小山怜央 | |
第6局 | 〇 | 先手 羽生善治 | 先手 広瀬章人 |
佐々木先生が1勝、羽生先生が4勝を挙げ、その結果は予選1回戦と同じものになりました。それでは、各対局を振り返ってみましょう。
第1局 佐々木勇気八段と小山怜央四段
先日、藤井聡太竜王名人を破りNHK杯で優勝した佐々木勇気先生と、奨励会未経験という珍しい経歴を持つ小山先生の対局が行われました。
本局では、角換わり腰掛け銀を得意とする小山先生に対し、後手番の佐々木勇気先生が早繰り銀を選択し、積極的に攻めます。
中盤では小山先生がうまく攻め込み、一時は優勢に進めました。
しかし、小山先生の玉が相手陣地へ侵入し、一見佐々木勇気先生に逆転の余地がないかに見えましたが、次第に形勢が逆転していきます。
対局は200手を超える長手数となり、視聴者にとっても内容を追いかけるのが難しい局面が続きましたが、最終的には佐々木勇気先生が王手飛車を決めて勝利となりました。
チーム関東Aの控室は大変な盛り上がりを見せました。
第2局 佐々木勇気八段と戸部誠七段
戸部先生は中飛車の使い手として知られています。
本局でも、戸部攻めが見られるかどうかが注目でした。振り飛車党のファンにとっては、特に楽しみな対局です。
今回、先手をもつ佐々木勇気先生は、超急戦という珍しい戦法を選択しました。
かおる
「超速」はよく聞くけどなあ
かおり
3九の銀を前に出す「超速」に対し
「超急戦」はお互いの飛車と角が成りこみます!
かおる
藤井先生はよく「超速」を用いるよね
かおる
まず2四歩とつきます
かおる
下図の局面になったとき、
かおる
5六歩とつけば超急戦だよ!
かおる
本譜は戸部先生が3二金と上がったので、超急戦にはならなかったんだ
かおる
後手が5六歩とすると、角交換になるよ!
かおる
3三角と打つと飛車と銀の両取り!
先手は2一の桂馬を取るしかなく、これを超急戦というんだ
本局では、戸部先生の序盤の指し回しに光るものがあり、徐々に優位を築き、最終的に勝利を収めました。
戸部先生にとって、今大会での初勝利となりました。
第3局 羽生善治九段と戸部誠七段
羽生先生が得意とする相中飛車に対し、戸部先生はそれを避け、三間飛車を選択しました。
これに応じて羽生先生は向かい飛車を採用し、男性棋戦では珍しい相振り飛車の局面になりました。
相振り飛車になったことで、序盤の展開が難しくなったのか、二人ともフィッシャー風ではない優雅な手つきで指し進めます。
羽生先生は積極的に攻めを見せ、通常は攻めの姿勢を見せる戸部先生を押し込みます。
戸部先生は継続して守りに徹し、一時は羽生先生の優勢が明らかになりました。
しかし、勝負は一方的には進まず、戸部先生の粘り強さにより形勢は何度も入れ替わりました。
この形勢の変動がフィッシャールールの魅力の一つかもしれません。
最終的には200手を超える長い戦いの末、羽生先生が勝利を収めました。
第4局 羽生善治九段と野月浩貴八段
少し疲れた様子が見える羽生先生に対し、対戦成績で1勝のみの野月先生ですが、その1勝が今回の対局場であるシャトーアメーバでのものということで、意気込みを見せる勝負となりました。
対局は多くの人が予想した通り、野月先生による雁木戦法で進みました。
野月先生は積極的な攻めを得意としており、本局でも8筋を利用した意外な仕掛けで驚かせます。
しかし、そこはさすがの羽生先生。野月先生の攻めを確実に受け止めました。
終盤には、双方が飛車を交える壮大な展開になり、最終的には羽生先生の卓越した終盤力が光り、野月先生の玉を詰ませました。
第5局 羽生善治九段と小山怜央四段
この二人は、小山先生がまだアマチュアだった頃、対局をしたことがあるようです。
戦型は第1局に続き、小山先生 お得意の角換わり腰掛け銀となりました。
後手の羽生先生は、最近流行している、右玉を採用します。
序盤、小山先生が有利に進めるものの、次第に形勢は逆転し、最終的には電光石火の詰みで羽生先生が3連勝を果たしました。
第6局 羽生善治九段と広瀬章人九段
前回、チームを4連敗からの5連勝で大逆転に導いた広瀬先生が、満を持して登場しました。
これはエース同士の対局であり、フィッシャールールでは初めての顔合わせとなります。
このルールで強い棋士を挙げろと言われれば、多くの読者が藤井先生、伊藤匠先生、広瀬先生、羽生先生を挙げるでしょう。
局面は矢倉に展開し、後手の広瀬先生が急戦で応じました。お互いに隙を見せず、じっくりと進める難しい将棋になります。
形勢は少しずつ広瀬先生に傾いていきましたが、広瀬先生に疑問手が出ると羽生先生がそれを見逃さず、勝利を収めました。
今回の羽生先生はすべての対局はほぼ100手を超え【226手・99手・150手・143手】、インタビューでは疲労困憊の様子が伺えました。
次回はチーム中部が相手になりますが、羽生先生が他の棋士に場を譲る可能性が高いかもしれません。
先発棋士 予想と答え合わせ
読者の皆様、予想はどうでしたか? 「かおる」の予想は以下の通りでした。
今回、予想が的中したのはチーム関東Aの佐々木先生だけでした。次はもっと当てるよ!
3月23日は本戦最後の1枠をかけて激突
3月23日(土)19時から、優勝候補と目されるチーム関東Bとチーム九州との対局が放送されます。
優勝候補であるチーム関東Bですが、永瀬先生と増田先生がまだ勝利を挙げておらず苦戦しています。
しかし、この2人が調子を取り戻せば、チームは確実に決勝まで進出できるでしょう。
一方、前回はチーム中部を崖っぷちに追い込んだチーム九州が、再び団結して勝利を目指す様子も注目されます。
「かおる」による今回の対局予想を表にまとめましたので、読者の皆様も視聴前にぜひ予想してみてください。
チーム関東B | チーム九州 | |
1番手 | 永瀬拓矢九段 | 古賀悠聖六段 |
2番手 | 伊藤匠七段 | 佐藤天彦九段 |
3番手 | 増田康宏八段 | 佐々木大地七段 |
3月23日の結果について、下の記事をクリック。👇
チーム関東Bは、エースである伊藤先生を中心に若手を中心とした構成が予想されます。
森内先生も非常に強力なため、監督の渡辺先生は難しい判断を迫られるでしょう。
一方、チーム九州はこれまで佐藤天彦先生を2番手に起用してきたため、今回もその流れを維持すると見られます。
さらに、前回は出場していなかった古賀先生が1番手で登場する可能性が高く、3番手については予測が難しいですが、弟子である佐々木大地先生が起用されると予想します。