12月8日に放送された第74回NHK杯将棋トーナメント3回戦第2局で、

先手の藤井聡太竜王名人(22)が澤田真吾七段(33)を105手で破り、昨年に続いてベスト8進出を果たしました。

次戦では、佐藤康光九段(55)と渡辺明九段(40)の勝者と対戦します。

戦型は四間飛車

藤井竜王名人と澤田七段のこれまでの対戦成績は、4戦全勝で藤井竜王名人がリードしています。

今回は約5年ぶりの対局で、一昨年のAbemaトーナメントでチームを組んだ間柄でもある二人の再戦となりました。

公式戦では久しぶりの対決ですが、お互いの将棋を日頃から研究していることでしょう。

本局は藤井竜王名人が先手、澤田七段が後手。

序盤、澤田七段は雁木と振り飛車の両方の可能性を残して対局を進め、藤井竜王名人に方針を定めさせませんでした。

そして14手目、端歩を突き越すことで四間飛車を選択、局面を構築していきます。

澤田真吾七段 16手目四間飛車に

これまでの4局はいずれも角換わりでしたが、

タイトル保持者となった藤井竜王名人相手に、角換わりでは互角に進行するのが難しいと判断したのでしょうか。

本局では対抗形を選択しました。

藤井竜王名人が穴熊に組む間、澤田七段も十分な形で応戦し、互いに隙を見せない展開が続きました。

しかし、形勢が大きく動いたのは50手目局面です。

本譜では△2六歩と打ちましたが、これに対する▲3六歩が巧妙な一手でした。

この手により、藤井竜王名人の3七の銀の前進を阻止する手段がなく、藤井竜王名人が優位に立ちます。

その後、澤田七段は非常に厳しい局面が続き、耐える時間が長くなりました。

50手目藤井聡太竜王名人が有利に

感想戦では、△2六歩ではなく△3六歩と打つ手が指摘されました。

この場合、▲4八銀から△2六歩と進めることで、藤井竜王名人の飛車を抑え込む展開が可能でした。

また、銀取りを無視して▲2一飛車成としても、3二の飛車には紐がついているため、これなら互角の勝負になったようです。

しかし本譜では、すぐに△2六歩と打ったため後手が厳しい状況に追い込まれ、

藤井竜王名人は無理をせず徐々に優勢を築き最終的に105手で勝利を収めました。

それにしても、藤井竜王名人は多忙な中、居飛車の研究を進めつつ、対抗形でもこれほど見事な指し回しを見せるのは本当に驚かされます。

今年度も一般棋戦優勝なるか

タイトル戦が8つある一方で、一般棋戦はわずか4つしかありません。

さらに、前年優勝したとしても、少なくともベスト16から始まる一般棋戦で連覇を果たすのは非常に難しいものです。

昨年、JT杯で優勝を飾った藤井竜王名人でしたが、今年のJT杯ではベスト4で敗退。

これにより、残る一般棋戦は3つとなりました。

その中でも、最も早指し力が問われるNHK杯で、昨年の準優勝の雪辱を果たし、見事優勝を成し遂げることができるのでしょうか。

今後の展開に注目です。