1. 崖っぷちから生まれた「史上初のフルセット」

将棋界の歴史に、また一つ不滅の金字塔が打ち立てられました。

ALSOK杯第75期王将戦七番勝負。

藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑んだこのシリーズは、誰もが予想だにしない「絶対王者の窮地」から始まりました。

圧倒的な勝率を誇る藤井王将が、タイトル戦史上初となる1勝3敗という絶体絶命のカド番に追い込まれたのです。

しかし、そこから3連勝を飾って防衛を果たすという、実に34年ぶりとなる奇跡の逆転劇を演じました。

藤井王将にとってタイトル戦キャリア初の「第7局(フルセット)」となった本局。

極限の緊張感の中で示されたのは、王者の看板に偽りなき異次元の防衛術でした。

第75期王将戦第7局2日目

午前のおやつ

藤井聡太王将の午前のおやつ永瀬拓矢九段の午前のおやつ
ガーナ
アイスティー(ストレート)
あまおうタルト
フレッシュいちごミルク
厳選されたカカオとミルクの絶妙なバランス。
口の中でゆっくりと溶かすことで、濃厚な甘みとコクが広がり、
対局で酷使される脳へ即効性のエネルギーをダイレクトに供給します。
「かおる」も食べたい
大粒の苺から溢れる濃厚な甘みと、程よい酸味が、
滑らかなクリームと口の中で見事に共鳴します。
「かおる」も食べたい

2. 174分間の沈黙が生んだ「封じ手」の苦悩

第7局1日目、盤上には息詰まるような沈黙が流れました。

その象徴が、54手目、永瀬九段が投じた「174分(2時間54分)」という記録的な大長考です。

永瀬九段は序盤から研究に裏打ちされた速攻を仕掛け、自ら銀を差し出す「駒損」を厭わぬ猛攻を見せました。

しかし、藤井王将の正確な応接を前に、攻めを繋ぐビジョンが霧散します。

この長考は、身を削る駒損の代償として得たはずの攻勢が、思うように「刺さらない」という苦渋の表れでした。

永瀬九段はこの沈黙の末、△3八馬を封じて1日目を終えました。

終局後のインタビューで、永瀬九段はその胸中をこう吐露しています。

「▲3五歩とされて、ちょっと困ってしまったので、その直前で、しっかり考慮すべきでした。」

ランチ

藤井聡太王将のランチ永瀬拓矢九段のランチ
チキン南蛮弁当
アイスティー
おにぎりセット(豚汁・漬物・塩むすび・明太子)
デミグラスと温玉チーズインハンバーグ・ご飯付き)
ホットコーヒー(濃さ:ストロング)
フレッシュいちごミルク
「酸味・甘み・旨味」が三位一体となった、食欲をダイレクトに刺激する美味しさ。
そこに濃厚なタルタルソースが加わることで、
最高密度のタンパク質とエネルギーをチャージします。
「かおる」も食べたい
「洋」の重厚なパワーを「和」の安心感で包み込み、
二種の飲料で精神をチューニングする。
まさに一分の隙もない、鉄壁の補給システム
この圧倒的な物量が、藤井王将の鋭い攻めを跳ね返す
「不撓不屈」の読みの源泉となります
「かおる」も食べたい

3. 勝機を呼び込んだ「2六飛」の直感

本局の命運を分けたのは、1日目午後の55手目、藤井王将が選んだ▲2でした。

一見すると角にぶつける▲2八飛が自然ですが、これには致命的な落とし穴がありました。

▲2八飛と引くと、永瀬九段に△3九馬という強烈な分岐を許します。

飛車と金の「両取り」がかかり、先手陣が崩壊しかねないのです。

藤井王将はこの筋を完璧に見切り、2六の地点へ飛車を逃がしました。

この柔軟な対応こそが、後に続く▲3五歩という鋭い反撃を可能にしました。

前王将である渡辺明九段もSNSで「素晴らしい対応」と絶賛していました。

4. 盤上を制圧した「完璧な角打ち」と鉄壁の守り

対局が佳境を迎えた2日目午後、藤井王将は勝利を決定づける「神技」を放ちます。75手目の▲4です。

先手陣は8筋が詰まった「壁形」で、王の逃げ道が狭く、一歩間違えれば即座に崩壊する恐ろしい状況にありました。

しかし、この▲4七角がすべてを解決しました。

自陣の脆さを補強しつつ、敵の最強駒である竜を追い、さらに攻めの銀を支える。

一石三鳥以上の役割を果たすこの角打ちにより、永瀬九段の攻めは完全に沈黙しました。

5. 王者の帰還と次なる戦い

2026年3月26日15時34分、永瀬九段が投了。

藤井王将は王将戦5連覇を達成しました。

1勝3敗という「崖っぷち」からの逆転防衛は、将棋界にとって世代交代の荒波を跳ね返した、まさに歴史的な快挙です。

しかし、絶対王者に休息の暇はありません。

この死闘から3日後には、同様にカド番から追い付いた棋王戦第5局、増田康宏八段との最終決戦が控えています。

「藤井・永瀬の2強」が盤上に刻んだこの熱量は、次なる挑戦者たちにどう伝播していくのか。

王者の帰還が新たな伝説の序章に過ぎないことを予感させつつ、将棋界の春はさらなる激闘へと続いていきます。