第65期王位戦第3局が7月30日31日にかけて、徳島県徳島市「渭水苑」で行われました。
第1局に続き、先手の藤井聡太王位(22)が渡辺明九段(40)に19時14分、111手で逆転で勝利し、2勝1敗としました。
次戦は8月19日(月)20日(火)に佐賀県唐津市「洋々閣」で開催されます。
渡辺明九段の序盤研究
「角換わり」と言えば、藤井王位の得意戦法です。藤井王位は、その研究の深さから、知らない手順はないと言われるほど「角換わり」研究の先頭を走っています。
しかし、渡辺九段はあえて険しい道を選び、新たな手順を披露しました。
これに対し、藤井王位はどう対応すべきかわからず、これまでの最長記録となる3時間10分の大長考に入りました。
将棋の世界には「長考に好手なし」という格言があります。長考するということは、迷っていることを意味します。
以前、羽生善治九段は「長考に見切りをつけて決断し、選択できるかどうかが調子のバロメーターだと考えています」と述べていました。
現在の藤井王位の調子は良くないのかもしれません。永瀬拓矢九段や伊藤匠叡王も指摘しているように、今は100点満点の手を指すことができないようです。
ファンとしては心配ですが、天才の藤井先生のことなので、『かおる』は全く心配していません。いずれ最強の藤井先生が戻ってくるはずです。しばらくは不安定な対局が続くかもしれませんが、一緒に見守っていきましょう。
2日目午前のおやつ
藤井聡太王位の午前のおやつ | 渡辺明九段の午前のおやつ |
季節のフルーツとアイスレモンティー | チーズケーキとアイスコーヒー |
色鮮やか! 「かおる」も食べたい | 渡辺先生は、チーズケーキも好物なのかな。 「かおる」も食べたい |
厳しい一手「9四角」
渡辺九段の「9四角」打ちは、非常に厳しかったようです。
通常、守りの金は1段目または2段目にいるはずですが、6三の金が狙われていると同時に、いつでも7六桂を打たれる心配があります。
さらに、序盤で1筋の歩は付き合ったのに、9筋の歩は付き合っていないことが、藤井王位を苦しめました。素人には序盤の何気ない一手に見えますが、これが後々、形勢を大きく動かす要因となりました。
2日目勝負メシ
藤井聡太王位のランチ | 渡辺明九段のランチ |
天婦羅うどん | 天婦羅うどん(塩むすび、香の物、デザート抜き) |
藤井王位なら少ないかもしれないね。いつもの2日目の食事量でしょうか。 「かおる」も食べたい | 朝ごはん抜きの渡辺九段にしては少な目です。それとも、朝ごはんを食べるようになったのでしょうか。 「かおる」も食べたい |
自然に見えた「4九飛車打ち」が悪手?
下図は渡辺九段の手番です。形勢は藤井王位が31%の勝率となっています。持ち時間は藤井王位が6分、渡辺九段が18分の状況です。
この中で、自然に見えた「4九飛車打ち」がまさかの悪手と判定されました。
この手は藤井王位に王手をかけるだけでなく、4六に桂馬を打たれることを防ぐ一石二鳥の手に見えました。そのため、渡辺九段は1分も使わずに「4九飛車」を指しました。
対局終了後、渡辺九段は大盤解説に登場すると、「終盤、なんでいつもこうなっちゃうのかなって感じになっちゃった」とこぼし、またX(旧Twitter)には「自然に見えた飛車打ちがまさかの悪手とは」と嘆いておられました。
渡辺先生が3勝0敗でもおかしくなかった
ここまでの3局を振り返ると、第1局と第3局では終盤に藤井王位が逆転し、第2局では渡辺先生が優勢のまま押し切りました。
将棋の内容としては、渡辺先生が3勝0敗でもおかしくなかったと思います。タイトル戦に強い渡辺先生が戻ってきた感じです。
しかし、実際の勝敗は藤井王位の2勝1敗となりました。
藤井先生は終盤で、トップ棋士でも対応が難しい素晴らしい手を何度も繰り出して逆転勝ちしているのでしょう。ファンとしては、この王位戦を4勝2敗で防衛し、次の王座戦に繋げてほしいと願っています。