西山朋佳女王が先勝

第17期マイナビ女子オープン戦第1局が4月9日に神奈川県の陣屋で行われました。

先手の西山朋佳女王(28)が大島綾華女流二段(21)に16時0分、115手で勝利し、1勝0敗としました。

次戦は4月17日(土)に山梨県の常盤ホテルで開催されます。

第17期マイナビ女子オープン第1局対戦表

大島先生がタイトル挑戦を決めた記事はこちらから👇

女流タイトル戦のタイトルホルダーと挑戦者

女流タイトル戦といえば、福間香奈女流五冠と西山朋佳女流三冠の対戦が多いというイメージがありますが、2023年度のタイトル戦の実際を確認してみましょう。

タイトル戦タイトルホルダー挑戦者
ヒューリック杯白玲戦福間香奈西山朋佳
大成建設杯清麗戦福間香奈西山朋佳
マイナビ女子オープン西山朋佳●甲斐智美
リコー杯女流王座戦福間香奈●加藤桃子
岡田美術館杯女流名人戦西山朋佳福間香奈
女流王位戦福間香奈●伊藤沙恵
霧島酒造杯女流王将戦西山朋佳●香川愛生
大山名人杯倉敷藤花戦福間香奈西山朋佳

再確認すると、半数の棋戦で福間先生と西山先生が挑戦者となっていることがわかりました。

大島綾華女流二段はどんな棋風?

今回挑戦者となった大島先生について見てみましょう。

デビューは2021年5月で、居飛車本格派に属し、長考派としても知られる藤井聡太竜王名人と似たスタイルを持っています。一手一手を丁寧に読むタイプです。

2024年2月に西山先生と対局した際、大島先生は大優勢でしたが、早々に消費した持ち時間の影響で、60手以上を1分将棋で戦わざるを得ず、途中でのミスが響き、逆転負けを喫しました。

2023年は特に飛躍の年となり、振り飛車戦で顕著な成績を残しました。

このタイトル戦が初めての挑戦であり、もしかすると本来の実力を発揮できなかったかもしれませんが、タイトル獲得は遠くない未来かもしれません。

以下は、2023年度の振り飛車戦における成績です。

  • 三間飛車 8勝2敗
  • 四間飛車 4勝1敗
  • 中飛車  1勝0敗

前日のインタビュー

西山朋佳女王

◇開幕を明日に控え、今のお気持ちを教えてください。

西山女王『春になると、マイナビ女子オープンが始まるんだな、と感じるようになりました。相手の大島二段とは初めての番勝負ですので、楽しみにしております。』

◇大島先生の印象について教えてください。

西山女王『居飛車を基本に採用されていて、重厚な将棋を好まれている印象があります。』

かおる

『重厚な将棋』だから、金や銀を押し上げていくタイプのようだよ。

藤井先生とは真逆かも!

◇意気込みをお願いします。

西山女王『今回は大島さんと初めての番勝負ということで、違った面で注目していただけるシリーズになったと思います。私自身もわからない事が多いですが、自分らしい将棋で頑張ります。』

大島綾華女流二段

◇タイトル初挑戦を明日に控えて、どんなお気持ちですか?

大島先生『陣屋さんで対局できるということで、入り口から入る時点で緊張感が伝わってきて、身が引き締まる思いです。』

◇対戦相手の西山女王は6連覇中です。どのような印象をお持ちですか?

大島先生『全体を通しても、将棋が強いイメージがあります。特に中終盤、スキを作ると一気にもっていかれるという印象です。』

かおる

西山先生の終盤力は、プロ棋士も恐れているよ!

◇意気込みをお願いします。

大島先生『番勝負では一局一局を大切に精一杯頑張りたいと思いますので、温かく見守ってください。』

午前中

「かおる」は藤井先生のタイトル戦をよく観戦しており、タイトル戦の開始時間を9時だと思い込んでいましたが、実際には本局は10時に始まりました

持ち時間が3時間のチェスクロック方式を採用しているため、開始時間が異なるのかもしれません。

戦型は西山先生の得意とする三間飛車、対抗形となりました。先手の西山先生が美濃囲いを選び、後手の大島先生は船囲いで応戦。

大島先生も得意な形で進め、10時53分に攻めを開始します。ここまでの形勢は互角でした。大島先生は昨年からAIを用いて研究しており、三間飛車に対する準備は万全のようです。

西山先生も、慣れ親しんだ戦法で時間をかけずに応じます。しかし、西山先生が端から桂馬を跳ねて大島先生の飛車にプレッシャーを加えた際、10分を費やして桂馬を狙い、歩を突き捨てる手を選択しましたが、この戦略は思うような結果には結びつかなかったようです。

まだお昼前ではありますが、既に形勢は西山先生に傾いています

ランチタイム

西山先生のランチ大島先生のランチ
陣屋カレー陣屋カレー(少なめ)
オレンジジュース
陣屋といえば、カレーですね。
永瀬先生は昨年の王座戦では、昼も夜もカレーを食べ、話題に
「かおる」も食べたい
女流棋士の場合、ランチ少なめで「デザート」を注文する先生が多いイメージだけど、今回はジュースだけだったようです。
「かおる」も食べたい

男性棋戦でのタイトル戦では、菅井先生を除き、多くの棋士がランチタイムを時間ギリギリまで部屋で過ごしている印象があります。

しかし、本局では西山先生が25分後、大島先生が40分後にはそれぞれ部屋に戻り、早くも盤の前で考えを深めていました。

午後 対局再開

本局では3時間のチェスクロック方式が採用されており、普段時間をかける大島先生の速い手が目立ちました

これが彼女の棋風の変化なのか、初のタイトル戦の緊張感によるものかは気になるところです。

対局再開後に大島先生が速やかに手を進めたものの、どの手も苦しいと自覚していたかもしれません。

徐々に大島先生の駒は押し戻され、西山先生の駒が優位に展開していきます。先手の西山先生が桂馬を得し、明らかに優勢となりました。その勢いは「かおる」にも伝わってきました。

おやつ

14時におやつが両対局者に提供されました。「かおる」は15時だと思っていましたが、女流タイトル戦では慣習が異なるようです。

西山先生のおやつ大島先生のおやつ
和菓子(練り切り・お饅頭)、抹茶ショートケーキ、アップルジュース
「かおる」は抹茶が大好きです
「かおる」も食べたい
シンプルでこちらもいいですね
「かおる」も食べたい

終盤

西山先生の攻めは緩むことなく、大島玉に迫り、大島先生も竜を自陣に戻して必死に抵抗しましたが、最後は力尽きました。16時ちょうどに大島先生が投了し、西山先生は1時間以上の時間を残しての快勝となりました。

西山玉が無傷だったことから、大島先生には無念さが残るでしょうが、初めてのタイトル戦であり、後手番だったことを考慮し、次に向けて気持ちを新たに頑張ってほしいと思います。