第81期名人戦第3局が5月8日9日に東京都大田区「羽田空港第1ターミナル」で行われ先手の藤井聡太名人(21)が豊島将之九段(33)に17時43分、95手で勝利し、3勝0敗としました。

次戦は5月18日(土)19日(日)に大分県別府市「割烹旅館もみや」で開催されます。

第82期名人戦第3局結果

1日目の進行

序盤

後手の豊島先生の序盤は、アマチュア間でもよく見られる四間飛車を目指す進行となりました。アマチュア間では99%、対抗形になりますが、豊島先生は滅多に振り飛車を指しませんので、雁木戦法が有力です。

名人戦第3局 序盤の進行

角交換から早繰り銀を目指す

後手からの雁木対策は十分と言わんばかりに、藤井先生もほとんど時間を使わずに指し手を進めます。

かおる

雁木と言えば、深浦康市九段

Abemaトーナメントも数えると、何度も苦しめられた戦法。

今では、対策はバッチリのようです。

しかし、本局では豊島先生側に、早くも問題の局面が現れます。下図の局面では、まだ時計は11時を過ぎたところ。持ち時間が9時間ですから、2人合わせて18時間以上の対局です。現在はまだ2時間しか経過していません。

名人戦第3局1日目午前 早くも問題の局面に

後手の豊島先生は、角交換をし、6四の銀を前に出してきたいところです。しかし、考えれば考えるほど、その進行に自信が持てなくなったようです。

昼休憩1時間を合わせると、2時間47分の大長考となりました。選んだ手は、問題の「4一玉」です。

振り返ると、本局は1日目の午前から2日目の終局まで、豊島先生はずっと苦しい局面を見続けていたことがわかりました。彼の精神力、我慢強さは誰にも真似できないでしょう。

かおる

投了の早い先生なら、1日目で終わっていたかもしれないほど、苦しかったようです。

△4一玉ではなぜ苦しかったのか

対局終了後、豊島先生ははっきりと「この4一玉でダメにした」と語っています。

この後、AIの形勢評価は藤井先生から見て60-40で推移していましたが、人間の目には相当苦しく見えました。

1日目の午後の段階で、控室で検討していた先生方も悩むほど、豊島先生側には指す手がないようです。

しかし、前局も本局同様、1日目で優勢な状態から、藤井先生が一度は負けの局面になったことを知っているファンは、今回も「もしかしたら」と、不安な気持ちで視聴していたことでしょう。

名人戦第3局『4一玉』がまさかの敗着

この「4一玉」ですが、実は封じ手の局面での第一感は「2三歩打」であり、これはアマチュアでも指せそうな手です。

ところが、この手は豊島先生も読んでいて、これなら何とかなると判断し、34手目に「4一玉」を指していました。だから、もし藤井先生が「2三歩打」を封じ手としていたら、2日目は大きく違っていたかもしれません。

名人戦第3局封じ手の局面
封じ手の局面
名人戦第3局封じ手の第一感の手
封じ手第一感の手「2三歩打」だと、実は難しかった?

はじめは、AIも第一感の手である「2三歩打」を推していましたが、さらに時間が経つと、「4一玉」を上回る手を候補にあげました。それが藤井先生が指した「1六角打」です。

あまりにも厳しかった『1六角打』
藤井先生の封じ手『1六角打』

これがかなり厳しかったようで、「4一玉」では持ちこたえられませんでした。

立会人の佐藤康光九段も、この「1六角打」について

▲1六角が最善ならば長考になるかもしれない

と語っていましたが、その予想通り、藤井先生は長考に沈み、封じ手時刻を20分過ぎてやっと封じる意思表示をしました。

藤井先生がすぐに封じなかったことで、豊島先生は覚悟したのではないでしょうか。1日目の夜、どれくらい考えたことでしょう。

つらい局面を考え続けるのは誰でも気がめいってしまいます。渡辺明先生は昔、同様の局面で少し考えた後、あまりにも悪いことを自覚し、すぐ就寝したと語っておられました。

「4一玉」に代わる手は?

本局終了後、感想戦が行われ、互いの読み手を披露し検討します。藤井先生は感想戦で話し合うのが大好きなようで、特に永瀬先生相手だと誰かが止めに入らない限り、永遠に続けています。

しかし、今回は異常に短く、20分程度で終わりました。それは34手目の「4一玉」という、あまりにも早い段階で形勢に開きが出たため、この手以外に検討する必要がなかったからです。

感想戦では、「9四歩」や「1四歩」や「7五歩」など、複数の代替案が出ましたが、最終的にはどの手もよくないという結論でした。つまり、34手目に豊島先生が2時間以上も大長考した判断は正しく、この戦法自体が後手にとっては苦しかったとしか言いようがありません。

第4局に向けて

豊島先生は追い込まれました。また、対藤井先生には12連敗です。

しかし、次は先手番です。とっておきの作戦を用意しているはずですから、楽しみに待ちたいと思います。

戦型予想ですが、本局では「雁木」戦法から「角換わり」に進んだことで、早い段階で指し手に困ってしまいました。そのため、「角換わり」は避けて「相掛かり」を採用すると予想します。

おやつ

藤井名人のおやつ豊島九段のおやつ
1日目午前 マンゴープリン(彩鳳)
1日目午前 フルーツ盛り合わせ
さっと食べれて将棋に集中できそうです
「かおる」も食べたい
今回は定番の「フルーツ盛り合わせ」を注文されました。脳を働かせるにはブドウ糖が欠かせませんから、フルーツを食べて頑張ってください。
「かおる」も食べたい
1日目午後 クリームあんみつ(京ぜん)、ハスカップヨーグルトスムージー(羽田産直館)1日目午後 おしるこ(京ぜん)、アップルキャロットスムージー(羽田産直館)
スムージーはいいね
「かおる」も飲みたい
組みあわせは、これでいいのかな?
「かおる」も飲みたい
2日目午前 チーズテリーヌ(アビオン提供)
食べたことがないのですが、今大注目のスイーツのようです。
2日目午前 フルーツ盛り合わせ
どこかで絶対食べてみる。
「かおる」も食べたい
連投してきました。
「かおる」も食べたい
2日目午後 北海道ミルクと黒胡麻バナナ(スムージー)/羽田産直館2日目午後 なし
「かおる」も飲みたい

勝負めし

藤井名人のランチ豊島九段のランチ
1日目 黒毛和牛ハンバーグとアンガスステーキのコンビ(エアポートグリル&バール)1日目 握り寿司盛り合わせと温かいそば(京ぜん)
栃木産のしいたけを使った握りや江戸前あなごなど8貫と鉄火巻きのセット。
サラダ、ドリンク付きで4,080円
藤井先生は1日目はガッツリだよね。
「かおる」も食べたい
すしのセットは3,300円、ミニそばは380円。
両者とも、羽田空港の名物を提供してもらったようです。
「かおる」も食べたい
2日目 五目冷やし中華 ミニ炒飯セット(彩鳳)
「紅あずま」など地元産食材をふんだんに使用
2日目 鰻ひつまぶし(京ぜん)
庶民的な食べ物が出てきました。
「かおる」も食べたい
「ひつまぶし」は名古屋だよね。
羽田空港から名古屋までは飛行機ならすぐだけど。
「かおる」も食べたい