第81期名人戦第2局が4月23日24日に千葉県 成田山 新勝寺で行われ、後手の藤井聡太名人(21)が豊島将之九段(33)に21時19分、126手で勝利し、2勝0敗としました。
次戦は5月8日(水)9日(木)に東京都大田区「羽田空港第1ターミナル」で開催されます。
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かおる
「羽田空港」で将棋?
料理やおやつは、気になるよね。
![第82期名人戦第2局結果](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/04/400979150717998f7a36b615a7870260-1024x324.png)
豊島先生の作戦
先手の豊島先生は「相掛かり」戦法で3四の歩を狙いました。以前はこの歩を守る際に3三に金を上げる手が多く用いられましたが、藤井先生は早くから飛車を活用した守り方を採用しています。
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かおる
下図のように、以前は『3三金』で「3四の歩」を支えていたよ!
![3四歩を守る3三金](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/04/ae5452b423c35cd88f25b87a52a1ff04.jpg)
最近では、藤井先生が好む「8四飛車」を採用する棋士が増えています。
![3四歩を守る8四飛車](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/04/e0524943c5d905898dec5b04ae43cdfb.jpg)
この局面から豊島先生は7五に歩を進め、ひねり飛車を用いて藤井先生の飛車に圧力を加える戦略を展開しました。
![7五歩からひねり飛車](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/04/ae0193fe5247d37eaced514989bf4ef8.jpg)
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かおり
上図から先手は
「▲8五歩」「▲8六飛車」とすると、
8筋を逆襲し、後手の飛車を抑え込むことが出来ます。
例えば、後手が何もしない場合(たとえば「3一玉」と指す場合)、局面は下図のように進みます。
![先手の飛車が8筋にまわる](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/04/90c41381984c8e416935481c27494483.jpg)
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かおる
後手の飛車が抑え込まれて、嫌だね!
午前のおやつ
藤井名人のおやつ | 豊島九段のおやつ |
1日目 黒平(くろべら)まんじゅう 成田市の和菓子店「菜花の里」の製品。昔ながらのセイロ蒸しで作るおまんじゅうで、黒糖のこうばしさが特徴。 | 1日目 なし |
これは美味しいはず! 「かおる」も食べたい | 豊島先生と言えば、フルーツ盛り合わせが定番ですが、今回は「なし」とのこと。朝食に食べたのかもしれませんね。 |
2日目 やきだんご 後藤だんご屋の商品です。 千葉のしょうゆで作った、みたらしあんがかかった一品 | 2日目 なし |
「かおる」も食べたい | 今回は、フルーツなしのようです。ダイエット? |
AI最善手「5五角」 解説者が説明できない中、藤井先生が指す。
先手の「7五歩」に対し、AIはこれまでに見たことがない「5五角」という手を最善手として挙げています。
藤井先生はこの手を検討するため26分かけて昼休憩に入りましたが、解説者はこの手を指さないだろうと述べています。
しかし、ファンたちは藤井先生が「絶対に指す」と思っていましたよね。
昼休憩を挟んで計2時間の長考の後、藤井先生はAIの最善手「5五角」を指しました。これが藤井先生の凄さです。彼はAIと同じ理論で正解を導いたようです。
解説者がこの手の意図を理解できなかったため、視聴者もその意味を完全には把握できませんでしたが、手自体は有効だったようです。
局後、豊島先生は「5五角」を見て、先に「8五歩」と指して藤井先生の飛車を抑えるべきだったと反省していました。
この「5五角」を指した時点で形勢は50%でしたが、その後の展開を見ると、この手の凄さが何となくわかってきます。2時間の長考で、どこまで読んでいたのでしょうか。
勝負めし
藤井名人のランチ | 豊島九段のランチ |
1日目 黒毛和牛サーロインステーキ重 米茄子の鴫炊きとともに アイスウーロン茶 | 1日目 松花堂弁当 はつめじろ添え アイス椿茶(氷なし) |
食べたいけど、「かおる」は胸やけすると思う 「かおる」も食べたい | 種類がいっぱい 「かおる」も食べたい |
2日目 さつまいも上天重 「紅あずま」など地元産食材をふんだんに使用 | 2日目 上うな重 成田山の門前にも名店が並ぶ名物 |
下のごはんが見えません! 「かおる」も食べたい | タイトル戦定番のうな重でした 「かおる」も食べたい |
1日目、封じ手の時刻近づく
名人戦は持ち時間が9時間のため、他のタイトル戦と異なり封じ手の時刻が18時半です。
藤井先生が優勢に進めていたため、彼が封じ手をすると予想されましたが、17時57分にもう一手指しました。藤井先生は封じ手をあまり好まないようです。
その後、必然の手が2手進んだ後、豊島先生が封じ手をしました。この時点で、藤井先生のファンはまだこれから起こる驚くべきドラマを想像もしていなかったでしょう。
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かおる
1日目が終わった時点では、『藤井先生、余裕の勝利』と思っていたよ。
両者 徹底した守備
両者はなかなか隙を見せません。1日目から予想外の苦戦を強いられた豊島先生も、簡単には負けないという強い意志を示す手を指しました。
![名人戦第2局1媛封じ手の局面](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/05/f4b0e3fe6cfd046631da41cf7558fc01.jpg)
封じ手は「2七歩」
「2七歩」を指すことで、豊島先生の守備は強化されますが、先手番としての主張が弱まるため、封じ手としては攻めの手が予想されていました。
しかし、実際は「受けの手」を指しました。これは、相当の忍耐を必要とする手です。豊島先生はじっと我慢し、逆転の一手を狙っていたのでしょう。
結果として、一度は大逆転を果たし、勝利寸前まで持ち込んだわけですから、この手は間違いなく良い手だったのでしょう。
![「封じ手」豊島先生まさかの2七歩打](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/05/d06585a7da175aaf8f4935d48befe87d.jpg)
豊島先生、渾身の勝負手「1四桂」
豊島先生に有効な受けがないように見えましたが、次の瞬間、豊島先生が渾身の勝負手「1四桂」を指しました。
![豊島先生の渾身の勝負手「1四桂」](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/05/8d042b7a1a26e5d23a3465b11d610748.jpg)
この手により、藤井先生の優勢は揺らぎ、何を指すべきか判断が難しくなります。
その時、AIが示した最善手は「5二玉」という意外な手で、これは藤井先生に対し、リスクの最も小さい手を指せとのアドバイスでした。
この手を見た瞬間、誰もが不安を感じたのではないでしょうか。通常、棋士は攻めにしろ受けにしろ、最も良い手と考える手を指しますが、この受けの手「5ニ玉」は、いい手に見えません。なぜなら、相手の攻撃陣に近づくからです。
ここで、藤井先生は49分を使います。選んだ手は攻めの手「同香(1四の桂馬を取る手)」。
その結果、勝負は再び不透明になりました。藤井先生のミスを攻めるのではなく、豊島先生の勝負術を称賛するべきでしょう。
局後のインタビューでは、藤井先生は、この攻めの手を反省していました。
こんな場所に飛車?
藤井先生から驚異的な一手が飛び出しました。「1五飛車打」です。これまでに見たことのないような手です。
通常、飛車は敵陣に打ち込むことが多く、またプロ棋士は自陣に打って守備に利用することもよくあります。
しかし、藤井先生が選んだのは盤面の真ん中でした。この手は攻めの形に見えますが、狙いは「と金」を取るための防御手段でした。飛車を使って「と金」を取るという発想は、非常に斬新です。
![藤井先生の受けの手「1五飛車」](https://fujiisota.blog/wp-content/uploads/2024/05/6bc03cfe63793e50fe697f27e29521a2.jpg)
最終盤 二転三転するも、藤井先生の逆転勝利
最終盤に入り、豊島先生がやや有利に進めていたものの、形勢は二転三転します。
両者とも普段では考えられないミスが出てしまいました。これは9時間の持ち時間が影響したかもしれません。
タイトル戦で8時間の経験を持つ木村一基九段も、この追加の1時間がかなり長いと解説しています。
確かに、両者にとって僅か2時間のように見えますが、対局開始からすでに19時間が経過しています。
1日目夜には各自が自室に戻り、何時間も考え続けていたはずです。疲れがかなり蓄積していることは容易に想像できます。
残り時間が10分を切った局面で、豊島先生が大優勢となりました。藤井先生は、この名人戦第2局の3日前、叡王戦で敗れたばかりです。連敗がほとんどない棋士であるため、ファンにとっては辛い時間でした。
117手目、誰もが藤井先生の負けを覚悟していたその時、豊島先生がまさかの大悪手です。
豊島先生のファンからは悲鳴が上がったでしょう。勝利が目前であったにもかかわらず、5分後には、藤井先生の勝率は88%に。藤井先生は決め手を逃しません。
これで、藤井先生は豊島先生に対し11連勝となりました。名人戦は第1局に続いて第2局も大逆転で藤井先生が勝利をつかみます。
戦前の予想では、長い持ち時間を得意とする藤井先生の4連勝を予想する声が多かったですが、結果は同じでも、内容は豊島先生の勝ちと言っても良いでしょう。しかし、豊島先生は連敗してしまいました。
やはり、将棋というゲームは、勝敗に限ると、終盤力がすべてではと思わされる一局でした。