2026年2月3日。第75期王将戦七番勝負第3局の幕開けは、冬の寒さを忘れさせるほどの熱気に包まれました。

先手に永瀬拓矢九段、後手に藤井聡太王将。

これまで幾多の名局を紡いできた両雄の激突は、開始早々から「観る将」のみならず、検討室のプロ棋士たちをも驚愕させる展開を辿ります。

第75期王将戦第3局1日目

1. 常識を覆す「歩越しの金」:藤井王将が仕掛けた現代調の構想

古くから「歩越しの金、銀に劣る」という格言があるように、

一度前に出ると後ろに戻りにくい金は、歩の前に進出させるのは悪形とされてきました。

かつての雁木といえば「△4三銀・△3二金」という守備的な構図が一般的でしたが、

藤井王将は△5二金右から△4三金、さらに△5四金と、金をまるで攻撃駒のように最前線へ送り出したのです。

この「現代調の歩越し金」には、深い意図が隠されています。

金の力で左右両面を制圧しつつ、真の狙いは△6五金から△7六金と、先手の角頭を直接粉砕することにあります。

もし先手がこれを受けて▲6六歩と防御すれば、左辺の「▲8八銀」との相性が極めて悪くなり、陣形のバランスを著しく損ないます。

常識という殻を打ち破り、相手の陣形の急所を冷徹に突き刺す。

まさに藤井王将の独創性が光った瞬間でした。

午前のおやつ

藤井聡太王将の午前のおやつ永瀬拓矢九段の午前のおやつ
百合根金団、狭山茶ほのかエクレア(ミルクキャラメル風味)
金の抹茶アイスラテ

ハンドドリップコーヒー
百合根金団:渋い味わいに仕上げられた大人の和菓子で、
百合根の素揚げが添えられているのが特徴です。
「渋み」と「素揚げの食感」をアクセントにした、
対局序盤の集中力を高めるための上品な組み合わせと言えます。
「かおる」も食べたい
異なる2つの味を楽しめるエクレアに、
2つのドリンクを合わせるという、
エネルギー補給を重視した永瀬九段らしい力強いラインナップです。
「かおる」も食べたい

2. 永瀬九段の「9分の少考」に隠された自信

混沌とした「恐ろしい進行」のなかで、永瀬九段が放った「▲4八金」という一手は、本局の決定的なターニングポイントとなりました。

飛車と銀の両取り(△3六馬)をあえて放置し、守備の金を上がるこの一手。

一見すると飛車を献上する暴挙にも見えますが、

永瀬九段はこの難局でわずか「9分」という、驚異的な短時間で決断を下しました。

自信の4八金

終盤さながらの複雑な局面における9分という考慮時間は、プロの感覚からすれば「ノータイム」に等しいスピードです。

検討室の木村三段は、永瀬九段が守った「4七の歩」を指し、これが攻防の要となる「大事な駒」であると指摘しました。

そして、川村三段はこう漏らしました。

「後手を持ってたら『覚悟』しちゃいますね」

指しにくい最善手を、確信を持って即座に指す。

その背景には、永瀬九段が積み上げてきた膨大な「事前研究」の裏付けがあることは明白でした。

藤井王将の独創性を、自らの研究という蜘蛛の巣に絡め取ろうとする、

永瀬九段の執念が透けて見える一手でした。

ランチ

藤井聡太王将のランチ永瀬拓矢九段のランチ
梅山豚炭火焼カツ、ほうじ茶海鮮重
ハーブティー、ホットコーヒー。
立川苺のショートケーキ
茨城県産の希少な梅山豚(メイシャントン)を主役にした、
香ばしさが際立つ一皿です。
「かおる」も食べたい
最大の特徴は、バルサミコ酢と赤ワインを使用した寿司飯です。
その上に、キンメダイ、ホタテ、サワラ、トロ、モンゴウイカ、クルマエビ、イクラという
豪華7種類のネタが贅沢に盛り付けられています。
「かおる」も食べたい

午後のおやつ

藤井聡太王将の午後のおやつ永瀬拓矢九段の午後のおやつ
エクレア
ベルガモット和紅茶
百合根金団、いちご大福
ハーブティーのコンブチャ、国産オレンジジュース、ハンドドリップコーヒー
午前中の和菓子(百合根金団)から一転、
午後は洋の甘みと香りで脳をリフレッシュさせ、
対局終盤に向けた集中力を高める組み合わせと言えます。
「かおる」も食べたい
ハーブティー(コンブチャ)、国産オレンジジュース、ハンドドリップコーヒーと、
性質の異なる3つの飲み物を同時に用意する、
永瀬九段ならではの徹底したスタイルが続いています
「かおる」も食べたい

3. 封じ手と形勢判断:勝利の女神はどちらに微笑むか

初日は永瀬九段が47手目を封じて幕を閉じました。

二日目の焦点となる封じ手予想は、取られそうな飛車を逃げつつ、

将来の▲3三歩成などの攻めを含みにする「▲3八飛」が本命視されています。

検討陣の結論は、現時点では「永瀬ペース」。

藤井王将の鋭い踏み込みを、永瀬九段が緻密な研究と正確な対応で受け止めているという見立てです。

しかし、相手は幾多の逆転劇を演じてきた藤井王将。

二日目の開始直後から、盤上の均衡は再び崩れる予感に満ちています。

封じ手局面