12月17日に放送された第32期銀河戦決勝トーナメント準決勝第1局で、
先手の藤井聡太竜王名人(22)が佐々木勇気八段(30)を千日手指直し局で103手で破り、2年連続決勝進出を果たしました。
次戦は、丸山忠久銀河と森内俊之九段の勝者と対戦することになります。
丸山銀河が勝利すれば、昨年の決勝と同じ顔合わせとなります。
一方、森内九段が勝ち上がった場合、3年前のAbemaトーナメントで同じチームメートだった関係性も注目ポイントです。
どちらが勝ち上がっても、羽生世代の大先輩との対戦となるため、普段とは一味違った将棋が見られそうです。
角換わり腰掛け銀
千日手指直しへ
後手番となった藤井竜王名人は、角換わり戦法において細かい工夫を重ねたため、
佐々木勇気八段も仕掛ける自信が持てず、結果として千日手を選択しました。
指直し局も角換わり腰掛け銀となりましたが、
後手番の佐々木勇気八段は、自身が用意した戦法へと誘導しました。
これは前例の多い形ですが、後手番は玉が前に出されて不安定な形となります。
一方、先手の藤井竜王名人も持ち駒が歩しかなく、互角の展開となりました。
形勢が動く
佐々木勇気八段の玉は狭く、指しにくい局面が続きます。
72手目、△2四歩と後手から歩を突き出しました。
本来は先手が2四歩とする局面ですが、これは玉の逃げ道を確保する狙いでしょうか。
しかし、この一手で形勢は藤井竜王名人に傾きます。
下図はそこから数手進んだ局面です。
やはり佐々木勇気八段に誤算があったようで、藤井竜王名人の方が明らかに指しやすい形となりました。
後手玉は狭いのに対し、先手玉は4枚の金銀にしっかり守られているためです。
佐々木勇気八段は必死に逃げ道を確保しようとしますが、藤井竜王名人は冷静でした。
一手一手、逃げ道を封鎖していきます。
追い詰められた佐々木勇気八段は、攻めるしかなくなり、4八に馬を作りました。
お得意の飛車切り
93手目、藤井竜王名人のお得意の飛車切りが出ました!
これは完全に読み切りの一手です。
もし同玉と取れば3手詰。
したがって、このタダの飛車を取れない佐々木勇気八段は、3三玉と逃げました。
しかし、▲3三銀と指されると、1手差で藤井竜王名人の勝利が確定します。
そして、103手目の▲2三歩成のところで、佐々木八段は投了しました。
指直し局は藤井竜王名人の完勝となり、
これで10月以降の佐々木勇気八段との対局は合計7局、藤井竜王名人が5勝2敗と勝ち越す結果となりました。
佐々木勇気八段の創意工夫により、どの対局も見ごたえがあり、非常に楽しませてもらいました。
再びタイトル戦の舞台で、二人の熱戦を見られる日が待ち遠しいですね。