1月19日、第18回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメントの2回戦が愛知県名古屋市のポートメッセなごやで開催され、
先手の服部慎一郎六段が、藤井聡太名人を119手で破り、準決勝へ進出しました。
服部慎一郎六段
若手の有望株、服部慎一郎六段(25歳)は、今年度の勝率ランキングで堂々の1位、33勝4敗、勝率0.892を記録し、1967年に中原誠十六世名人が記録した歴代最高勝率0.855を大きく上回っています。
服部六段と藤井聡太名人との今回の対局は、双方にとって初対戦です。
服部六段がプロデビューした2020年4月は、藤井名人がタイトルを獲得した年でもあります。
これまでの対局のなかった二人が初めて対戦する本局には特別な意味があります。
また、第12回朝日杯将棋オープン戦決勝で、当時七段だった藤井が渡辺明棋王に挑み、勝利を収めてから2年後にタイトルを獲得した経緯があります。
服部六段の今後の活躍が非常に期待されます。
2局とも苦戦
戦型は矢倉
藤井聡太名人は、第11回から朝日杯に連続出場しており、
これまでに4回の優勝を飾るなど、非常に相性の良い棋戦となっています。
これまでの大会で常に1回戦を突破している藤井名人は、本日も阿久津主税八段に逆転勝利を収め、2回戦に進出しました。
服部慎一郎六段が先手となったこの局は▲7六歩から始まり、矢倉模様で展開されました。
後手の藤井名人は急戦を選択しました。
昨年の決勝戦では、永瀬拓矢九段との対局で同じ戦法を採りながらも、大量の持ち時間を消費し、結果的に準優勝に留まりました。
今局でも、昨年に引き続き、持ち時間40分の中で31分の時間差がついてしまいました。
苦しい中で逆転を目指す一手
午前の対局と同様、藤井聡太名人はかなり苦しい局面に立たされ、長考を重ねました。
その間に服部慎一郎六段はまだ31分の残り時間があり、藤井名人は一分将棋に突入してしまいました。
焦りを見せる藤井名人は、60手目に△4七銀を指し、この手に運命を託しました。
この手は守りを意識しつつも、逆転を狙う独特な一手となりました。

服部六段 会心の指し回し
一時は藤井名人にとって指しやすい局面もありましたが、
持ち時間がほとんど残っていなかったため、十分な読みを入れる時間がありませんでした。
流石の藤井名人も、この大きな時間差では対応する手段が限られてしまいました。下図は投了図です。

以下は△5二玉に対する▲4一角からの詰めろの展開です。
△3二玉と逃げると▲銀成り△同玉、続いて▲5一角と連続王手がかかります。一手ごとに追い詰められ、この局面で投了となりました。