第9期叡王戦第4局が5月31日に千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で行われました。

後手の藤井聡太叡王(21)が伊藤匠七段(21)に18時2分、132手で勝利し、2勝2敗としました。

最終戦は6月20日(木)に山梨県甲府市「常盤ホテル」で開催されます。

第9期叡王戦第4局結果

かおる

最終局までいくのは2度目だよ。

かおり

前回は豊島先生相手に、先手番を引いて叡王獲得となりましたね。

かおる

今回も先手番を引いて、勝ってほしい。

必ず勝つよ

まだ、伊藤先生にはタイトル渡せません!

両者得意の角換わりに

本局は、先手番の伊藤先生が得意とする角換わりを指向し、藤井先生もそれに応じました。

最近、後手の藤井先生が変化を加えることが多かったのは、「面白い将棋」を目指していたからかもしれません。

しかし、本局では敗れれば敗退というプレッシャーの中、得意の角換わりを選び、真っ向から対決を挑みました。

以前は先手と後手の両方が角換わり腰掛け銀を指向することが多かったものの、AIによると、先手がやや有利という判断から、後手番は右玉を組む戦略が増え、積極的に攻める手法が見られるようになりました。

この対局でも、その戦略に従い、藤井先生が攻めの一手を進めました。

藤井先生による右玉

上図から細かい駆け引きが行われ、66手目で伊藤先生が穴熊を目指す中、藤井先生は端から攻め始めました。

控室の三枚堂先生は、この端歩を受けると伊藤先生が防ぎ切るのは難しいと見ていましたが、伊藤先生の次の手は端歩を受ける手でした。

何か策があると思われましたが、その後の進行を見ると、伊藤先生には何か誤算があったようです。

おやつ

藤井叡王の午前のおやつ伊藤先生の午前おやつ
パラダイスマンゴープリン、水出しアイスティーエスプレッソコーヒー&チョコパフェ、水出しアイスティー
朝のデザートにはぴったりだね。
「かおる」も食べたい
かおるは、チョコが大好きです。
「かおる」も食べたい
藤井叡王の午後のおやつ伊藤先生の午後のおやつ
クラウンメロンバウムクーヘン、りんごストレートジュースクラウンメロンバウムクーヘン、水出しアイスティー
クラウンは「冠」だね。守るぞ、という思いから選んだ商品かな。
「かおる」も食べたい
伊藤先生もクラウンです。こっちは絶対に取る、ということですか。伊藤先生、それはダメです。
「かおる」も食べたい

ランチ前に、形勢が傾く

伊藤先生は端歩を受ける、この手に、41分もの時間を費やしており、その複雑さが伺えます。

一方で、藤井先生はまだ28分しか消費していませんでしたが、伊藤先生の意外な応対に驚いたのかもしれません。次の手は、お昼の休憩を含めて合計94分の長考に及ぶこととなりました。

端歩を受ける。伊藤先生

ランチ

藤井叡王のランチ伊藤先生のランチ
チキンのトマト煮込み&バターライス、ウーロン茶国産牛ローストビーフ丼(卵スープ付)、アイスティー
藤井先生、関西将棋会館の1階「イレブン」で、よく「バターライス」を注文していたね。
「かおる」も食べたい
ビーフとチキンの対決だけど、かおるはチキンかな。
「かおる」も食べたい

伊藤先生 非常な辛抱の一手

午後から後手の藤井先生が次々と攻め手を繰り出し、先手の伊藤先生の玉周りはかなり厳しい状況に追い込まれました。

現在の局面は藤井先生の74手目で、その狙いは二つあります。

一つは9六の香車を取ること、もう一つは8七に角を打ち込むことです。

これに対し、伊藤先生には8七に角を打つ以外に手がなく、非常に厳しい状況に追い込まれています。しかし、この手を選ぶ勝ち目が薄れるように思えます。

74手目藤井先生からの厳しい攻め

しかし、伊藤先生は迷うことなく8七に角を打ちました。非常な辛抱の一手です。ただし、この角は最終局面まで攻撃に参加することができませんでした。

伊藤先生 鬼辛抱の一手8七角打ち

最後まで攻め続ける藤井叡王

伊藤先生の「8七角」という受けの手以降、藤井先生は攻めを続けました。その攻め方は難しいものでしたが、ファンは、攻め続ける様子を安心して観戦できたことでしょう。

手数は多くかかりましたが、132手目を見た伊藤先生がここで投了しました。

ランチ前に9筋の歩への対応を誤った伊藤先生は、その後、終始攻められる局面が続き、最終的には本来の実力を発揮することなく敗れました。

6/20 最終戦で防衛を決める

もう3年前のことになりますが、2021年は藤井先生と豊島先生が熱戦を繰り広げた19番勝負が実施された年です。このときは最終局先手番を得た藤井先生が、叡王のタイトルを獲得しました。

叡王戦はタイトル戦の中でも最も短い時間で行われるため、ファンにとっては常に心配の種です。

先手番は現在、やや有利とされており、それを引けば藤井先生がタイトルを防衛する可能性が高まるでしょう。

藤井先生は、羽生先生や渡辺先生と同様に運も味方につけており、多くのファンが先手番を引いて再びタイトルを防衛することを期待しています。