将棋界の絶対王者、藤井聡太王将。

彼がどれほど圧倒的な存在であるかは、その記録が雄弁に物語っています。

特に、二日間にわたる七番勝負のタイトル戦においては、これまで実に18回戦い、一度もシリーズ敗退がありません。

さらに、シリーズの流れを決定づける第1局の勝率は15勝3敗と、驚異的な高さを誇ります。

しかし、その「常勝神話」が揺らぐ日が訪れました。

2026年1月12日に行われた第75期王将戦七番勝負の第1局。

挑戦者・永瀬拓矢九段が、激闘の末に藤井王将を破るという衝撃的な結果がもたらされたのです。

第75期王将戦第1局2日目

序盤の常識を覆した、永瀬九段の「謎の継ぎ歩」

本局の流れを決定づけたのは、序盤早々に永瀬九段が放った独創的な一手でした。

角換わりの最新形から進んだ局面、永瀬九段は「2五歩」と突いた直後、さらに「2六歩」と重ねて歩を打つ「継ぎ歩」を見せます。

2時間2分の大長考

これは非常に珍しい指し方で、プロの解説者たちをも困惑させました。

この手の真の狙いは、守りの駒である「金」を最前線に繰り出す「棒金」戦法にありました。

自陣に近い位置での継ぎ歩によって金の進軍ルートを確保し、相手陣への圧力を一気に高めようという、大胆かつ周到な構想だったのです。

この独創的な戦略は、単なる奇襲ではありませんでした。

この構想が明らかになった局面では、AIの評価値が早くも永瀬九段有利に振れたことからも、その有効性がうかがえます。

永瀬九段の深い研究と準備の成果が、序盤から遺憾なく発揮されたのです。

この一手が、藤井王将ですら経験したことのない未知の領域へと将棋を導き、試合全体の主導権を握る重要な布石となりました。

評価値が乱高下した「ジェットコースター終盤」

終盤、一度は永瀬九段が優勢を築き、勝率は70%に達していました。

しかし、ここから絶対王者が真価を発揮します。

藤井王将の猛烈な反撃により、形勢は一気に逆転

この信じがたい展開に、解説の屋敷伸之九段も驚きの声を上げました。

「この局面で逆転ですか。もうお2人の残りの持ち時間はわずか23分。本当に凄まじい将棋です」

誰もが藤井王将の勝利を確信しかけた、その瞬間でした。

藤井王将が指した「8二飛車」を境に、事態は再び急変します。

AIの評価値は、永瀬九段の勝率90%へと劇的に振り戻ったのです。

AIですら正確な判断が難しいほど、盤上は混沌としていました。

この一連の流れは、終盤の一手がいかに重い価値を持つか、

そしてトッププロ同士の戦いが、AIの計算を超えた人間の心理と読みの深さによって支配されていることを象徴していました。

敗勢の中の煌めき、藤井王将の「魂の勝負手」

評価値が99%まで永瀬九段に振れ、形勢が絶望的となった局面。

常人であれば心が折れてしまう状況で、藤井王将は将棋史に残るであろう勝負手を放ちます。

それが「8九飛成」でした。

馬を見捨てる

これは、自らの大駒である「馬」をただで捨て、

相手玉に最後の望みを託して迫るという、常人には到底考えつかない一手です。

勝利の確率よりも、盤上で最善を尽くすという棋士の尊厳と、勝負師としての執念が凝縮された一手でした。

この手を見た解説の斎藤明日斗六段が、思わず絶叫したというエピソードが、その衝撃の大きさを物語っています。

「ひえー、そんな手があるんですか」

結果的にこの手は勝利には結びつきませんでしたが、

敗勢の中でもなお最善を求め、一瞬でも望みを繋ごうとする藤井王将の凄まじい精神力を浮き彫りにしました。

おやつ

藤井聡太王将の午前のおやつ永瀬拓矢九段の午前のおやつ
深蒸し茶のスコーン(あんこ&クリームチーズ)」
「掛川和紅茶」
完熟メロンまんじゅう(2個)」
「フレッシュジュース(紅ほっぺ)」
まさに「お茶のまち・掛川」を凝縮した一皿。
対局の合間にふさわしい、
集中力を高めつつも心安らぐ、奥深い味わいです。
「かおる」も食べたい
メロンと苺という「フルーツ王国・静岡」の王道を詰め込んだ、
非常に華やかでエネルギー効率の良いセットです。
同じメニューを繰り返し選ぶことで、リズムを大切にする
永瀬九段らしいストイックなこだわりが感じられます。
「かおる」も食べたい

ランチ

藤井聡太王将のランチ永瀬拓矢九段のランチ
掛川牛もも肉のカツカレー
「アイスティー」
回鍋肉
いちごタルト
フレッシュジュース(キウイ)」、「ホットコーヒー」、「アイスウーロン茶」
ボリュームのあるカツカレーでありながら、
赤身のもも肉を選ぶことで重たすぎず、
それでいて「ここ一番」のスタミナはしっかり補給できる構成。
藤井王将の落ち着いた、かつ力強い攻めを支えるような、
バランスの取れた勝負飯です。
「かおる」も食べたい
「ランチ」の枠を超え、デザートと3種の飲料を並べるそのスタイルは、
まさに「盤上の軍曹」
対局中に席を立つ時間を極限まで減らし、
手元にあらゆる栄養素を揃えて戦いに備える、
永瀬九段のストイックな決意が伝わってくる壮観なメニューです。
「かおる」も食べたい