西山朋佳女王 2勝目

第17期マイナビ女子オープン戦第2局が4月17日に山梨県の常盤ホテルで行われました。

後手の西山朋佳女王(28)が大島綾華女流二段(21)に16時44分、124手で勝利し、2勝0敗としました。

次戦は5月12日(日)に神奈川県の時宗総本山 遊行寺で開催されます。

第17期マイナビ女子オープン第2局結果

前日のインタビュー

西山朋佳女王

◇常盤ホテルの印象を教えてください。

西山先生『豪華なホテルですね。客室がリニューアルされたということで、また新しい趣きで楽しませて頂きました。』

◇第1局を振り返ってください。

西山先生『第1局は大島先生に早々にミスが出てしまいましたが、明日は後手番ですし、相当苦戦することが予想されます。』

かおる

西山先生の予想通りの展開になったよ。

西山先生も、先手番の大島先生の実力を認めているみたい。

◇明日の抱負をお願いします。

西山先生『自分の棋力がしっかり出るような将棋を指したいです。』

大島綾華女流二段

◇常盤ホテルの印象を教えてください。

大島先生『エントランスに入ると日本庭園の綺麗さに、改めて素敵だなと思いました。』

◇第1局を振り返って。

大島先生『反省点が多い将棋でした。その点を第2局に活かしていきたいです。』

初めての和服対局でしたが、どうでしたか?

大島先生『ちょっと大変でした。でも、和服での対局に憧れていたので、嬉しい気持ちもありました。』

◇明日の抱負をお願いします。

大島先生『一手一手、集中して頑張りたいと思いますので、応援どうかよろしくお願いいたします。』

かおる

これからも応援します。

◇第2局までの期間に、リフレッシュなどされましたか?

大島先生『映画が趣味ですので、映画「名探偵コナン」を見てリフレッシュしました。』

◇「名探偵コナン」は昔から見ているのですか?

大島先生『漫画は全巻は持っていませんが、アニメは時々見ています。』

かおる

名探偵コナンってすごく長いよね。

トリックのネタが切れないのがすごいなあ。

コナン君はずっと小学生のままだけど。

午前中

本局では、後手の西山先生が四間飛車を採用しました。10時13分、西山先生は「角交換」をします。

通常、藤井先生の対抗形では角交換をせず、序盤は駒組みに注力し穴熊を目指すことが多いですが、本局では角交換を選択し、双方が角を打たれないよう注意深く進める必要がありました。

このような展開は、将棋が特に緊迫するものです。

女流棋士は激しい局面を好む棋士が多いような気がします。大島先生は数分考えた後、自陣に角を打ちました。

アマチュアプレーヤーは飛車や角を敵陣に打つことが多いですが、プロは自陣に打ちますね。西山先生はこの角打ちに対し、慎重に対応していきます。

大島先生は通常、急戦を得意としていますが、第1局の反省を踏まえ、今回はじっくりとした戦略を選んでいます。

かおり

「急戦」とは、比較的早い段階で駒交換が行われ、玉が薄い状態で戦いが起こることを言います。

数手進んで、下図の局面になりました。

大島先生お得意の形

大島先生の得意とする形です。彼女の将棋では、ほぼ必ず「2六飛車」「4六銀」の形を見ることができます。

かおる

「かおる」も覚えたよ!

本局では、後手の西山先生が2筋で逆襲してきそうですが、これは予定通りの手のようです。第1局と異なり、大島先生はいつも通り時間をかけ、落ち着いて指しています

前局では緊張から早指しになり局面を悪化させましたが、本局ではその経験を活かし、成長が見られます。

ランチタイム 12時~

西山先生のランチ大島先生のランチ
海鮮丼 和小箱ランチ
アイスレモンティー
海鮮丼 和小箱ランチ(少なめ)
ウーロン茶とオレンジジュース
海鮮丼の具はマグロ、タイ、富士の介、穴子、イカ、甘エビ、イクラ。富士の介はキングサーモンとニジマスを交配した山梨県のブランド魚。
「かおる」も食べたい
14時にデザートが出るため、ランチタイム時は頼まれないようですね。
「かおる」も食べたい

本局では、大島先生が12時33分、西山先生が12時39分に対局室に戻りました。

大島先生はこれまでに1時間20分、西山先生は34分を消費しています。時間の開きが出ていますが、大島先生は長考を好むため、問題はないと考えられます。

午後 対局再開

ここまでの対局は完全に互角です。手持ちの角を持っている西山先生は指しやすいかもしれません。17分の長考の後、西山先生は角を6四に打ちました。

しかし、この角が攻撃の対象となり、その後の形勢は大島先生が優勢に転じていきます。

小刻みに時間を消費した大島先生は、5一に飛車を打った下図の局面で1分将棋に入りました。

5一飛車打ちで大島先生1分将棋

この時点で西山先生はまだ1時間の残り時間を保持しています。形勢は大島先生が70%で優勢ですが、局面はまだまだ難しいです。

高校生の頃の藤井先生も、持ち時間がなくなり、時々ファンを心配させていました。現在の大島先生は、相手よりもじっくり考え、最適な手を指すことに集中しているようです。

おやつ

西山先生のおやつ大島先生のおやつ
和風ミニパフェ・アイスミルクティー和風ミニパフェ・オレンジジュース
抹茶アイスにあずきと白玉、黒蜜が添えられています
「かおる」も食べたい
結構、量がある気がします。
「かおる」も食べたい

西山先生 恐ろしすぎる終盤力

1分将棋に入った大島先生には次々と厄介な手が指されます。現在の局面はとうとう互角になり、西山先生が5一に歩を打つ「毒まんじゅう」の一手で、竜の対処が問われています。

かおる

藤井先生も劣勢のときは、所々に罠を仕掛けているよね!

かおり

「毒まんじゅう」とは、終盤に駒をタダで取らせて

形勢をひっくり返すテクニックです。

5一歩打ちへの対応を誤る

本譜では、大島先生が5一の歩(毒まんじゅう)を竜で取ってしまったため、西山先生の優勢となりました。

大島先生は直前に6二歩を打ち、「と金」を作る計画でしたが、この直前の手を生かすべく、同竜と取ってしまいましたと思われます。

正解は6一に竜を潜り込ませることでしたが、状況は時間的にも難しかったです。大島先生には残り時間が1分しかなく、正解手を連続で指すことは困難でした。

正解手6一竜

西山先生があっという間に大島先生の玉を詰める場面で、彼女の終盤力の恐ろしさが際立ちました

今年のNHK杯で西山先生が1度勝利すれば、藤井先生との対局が実現します

持ち時間が長ければ藤井先生の勝利はほぼ確実ですが、NHK杯では持ち時間が短く、藤井先生もミスをすることがあるため、両者の終盤力の勝負は非常に楽しみです

本局では、大島先生が中盤から優勢に立ち、西山先生を追い詰めましたが、最後は逆転されてしまいました。それでも第1局からは大きく進歩しており、経験を積めば大島先生がタイトルを獲得する日も近いかもしれません。

第3局も本局同様、彼女には同じスタイルで西山先生を苦しめてほしいです。