第10期叡王戦本戦トーナメント1回戦が1月8日に東京・新将棋会館で行われ、

先手の藤井聡太竜王名人(22)が増田康弘八段(27)に16時52分、111手で勝利し、2回戦進出を決めました。

次戦は木村一基九段戸部誠七段の勝者と対戦します。

対局前

タイトル戦は9時から始まりますが、その他の対局は10時からスタートとなります。

かおる

藤井先生の10時スタートの対局を視聴するのは久々だね!

本日、東京の新将棋会館にある「特別対局室」で行われました。

9時41分には先に藤井聡太竜王名人が入室されました。

これは藤井竜王名人の、将棋会館でのいつものルーティンですね。

昔は入室前に詰将棋を解いていたそうですが、今回はどのように過ごされたのでしょうか。

現在は七冠の立場にあり、非常にお忙しいため、直前には打ち合わせなどが行われていた可能性があります。

カバンはいつも通りリュックでした。

この後、見届け人の女性が入室しました。

叡王戦は第4期から「見届け人」という制度を導入しています。

藤井聡太竜王名人が本戦に出場することも影響しているのでしょうか。本戦の募集は既に行われていました。

9時48分、増田康弘八段が入室しました。

コートは着用していません。

彼は筋トレが趣味で、寒さには非常に強いので、スーツだけで十分なのでしょう。

9時49分、一礼を交わした後、駒を並べ始めました。

駒並べが終わると、振り駒が行われました。

先手となるかは大いに注目されるところです。

以下は、藤井竜王名人の今年度の先手と後手の勝率です。

  • 先手番 16勝3敗 勝率.842
  • 後手番 11勝6敗 勝率.647

振り駒の結果、歩が3枚、と金が2枚となりました。

これにより、藤井竜王名人が先手と決まりました。

戦型は角換わり

10時、藤井竜王名人がいつもの初手「2六歩」で対局を開始しました。

これは八冠返り咲きを目指すスタートです。

本対局は持ち時間3時間のチェスクロック方式で進行し、速やかに進んでいます。

戦型はいつもの角換わりとなりました。

増田八段は△6五歩から△6四角と進めましたが、藤井竜王名人はすぐに▲7五角で応じ、増田八段の角を消しにいきました。

この手に対する迅速な対応は初めて見ましたが、藤井竜王名人は事前に研究していたようです。

一方、この局面で増田八段が時間をかけたことから、彼がこの展開を研究していなかった可能性があります。

6四角に7五角打

ランチ

藤井聡太竜王名人のランチ増田康弘八段のランチ
山椒ポークカレー【rico pua 北参道】
パクチー付き 900円
玉子炒飯【紫金飯店
1,100円
今回は以前からあるお店での注文となりました。
久しぶりの将棋会館での食事ですので、
楽しみにしていたのかもしれません。
「かおる」も食べたい
紫金飯店の料理は量が多いようです。
町の中華屋さんですね。
「かおる」も食べたい

対局再開

藤井竜王名人の▲3四歩から局面が再開しました。

2筋の飛車を6筋に移動するなど、他に有力な手がある中でも積極的に攻めていきました。

これに対し、増田八段も時間をかけて強気な対応を展開しました。

下図は54手目で、増田八段が△3五銀を指した局面です。

54手目3五銀で飛車に当てる

ここで藤井竜王名人は、強気に▲3四飛車と指し、銀を捕らえます。

この手は危険を伴うものですが、後手の△4四角によって飛車が取られる局面でも問題ないと考えたようです。

また、AIによる分析では、藤井竜王名人のこの手が最善手と評価しており、

形勢は藤井竜王名人が57%の優勢と示しています。

藤井聡太竜王名人、強気の3四飛車

予想通りの局面が続き、藤井竜王名人の手番が来ました。

ここで▲4九歩や▲8七銀といった守備的な手を指せば安全ですが、藤井竜王名人はそのような消極的な手は好まない傾向にあります。

65手目藤井聡太竜王名人の次の手は?

意外な展開で、藤井竜王名人が▲8七銀打ちを選択しました。

この手には、ABEMAの聞き手である武富女流も「わーお」と驚きの声を上げました。

一方、解説を務める深浦九段は、「藤井竜王名人も一般の棋士と同じ感覚を持っている」とコメントしています。

▲8七銀打ちで固める藤井聡太竜王名人

藤井竜王名人に指されると、後手からの攻めが困難になり、増田八段も苦慮している様子です。

彼は残り時間の大部分を使って△8五歩と進め、藤井玉の堅固な陣を攻略しようとしました。

下図はさらに数手進んだ局面を示しています。

ここで藤井竜王名人は増田八段の飛車を攻撃しています。

この段階に至ると、藤井竜王名人の敗北は考えにくく見えます。

増田八段の飛車を攻める藤井聡太竜王名人

最終局面では、増田八段の玉が敵陣深く進入し、3一の飛車を救出できるかどうかが焦点となりました。

増田八段には相入玉での引き分けを目指す他なさそうです。

この点に至って、藤井竜王名人は駒を少しずつ剥がしていくと考えられていましたが、突如攻勢を強めました。

彼は増田玉を詰める戦略を採り、99手目には▲5三馬で飛車と銀を両取りにし、

同時に増田玉にも重圧を加えています。

5三馬とし、最終局面へ

107手目になると、両者が1分将棋に突入しました。

この時点で藤井竜王名人の形勢が明らかに良くなっています。

点数勝ちを目指す選択もありましたが、藤井竜王名人はいつも通り相手玉を詰ましにいきました。

111手目に▲3七歩を打ったところで増田八段が投了しました。

もし△3七同竜とされると、▲2七金で竜が取られてしまいます。

また、△2八歩成の場合は▲5四馬と銀を取りながら、増田玉に詰めろがかかっています。これは見事な組み立てでした。

111手目 増田八段が投了