本日8月9日(土)、静岡市の「ツインメッセ静岡」で、第46回将棋日本シリーズJTプロ公式戦二回戦の熱い一戦が行われました。
注目の対局は、藤井聡太竜王名人(23)と佐々木勇気八段(31)の顔合わせ。後手番の藤井竜王名人が持ち味を存分に発揮し、106手で激戦を制しました。
準決勝進出を決めた藤井竜王名人の次なる相手は、二回戦第2局で行われる渡辺明JT杯覇者と山崎隆之九段の勝者。
対局は10月12日(日)、「ポートメッセなごや」で行われます。
再びどんなドラマが生まれるのか、今から楽しみです!

JTプロ公式戦の特徴は2つ。
1つ目は、前年の覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位12名のトップ棋士のみが選出され、出場できること。
限られた精鋭によるハイレベルな戦いが繰り広げられます。
先日、2年連続竜王戦挑戦を決めた佐々木勇気八段ですが、JT杯は意外にも初出場となります。
もう1つは、公開対局であることに加え、対局中に会場で解説が行われることです。
観戦者は棋士たちの高度な駆け引きをリアルタイムで楽しみながら、
解説者のコメントを通して、より深く将棋の魅力を味わうことができます。
藤井竜王名人の初手は△3四歩
永瀬九段以外では初の△3四歩。
今後は、角道を空ける手が普通に指されるのでしょうか。
先日の王位戦でも△3四歩を指してるため、対戦相手の佐々木勇気八段もある程度、対策はしていたことでしょう。
しかし、この手を見せたことで、竜王戦では、後手の雁木対策にも時間を使うことになると思われます。
ちなみに、本局で佐々木八段が選択した戦法は、力強い右四間飛車でした。
藤井竜王名人の革新的な一手に対し、佐々木八段がどのように立ち向かうのか、今後の対局からも目が離せません。

解説・鈴木大介九段の自信の一手を、簡単に外す藤井竜王名人
藤井竜王名人は解説を聞いて、違う手を指したのでしょうか。
それとも、その手が当然の一手なのか。
猛スピードで進む中、解説の鈴木大介九段が、
『これは当たります。これは絶対、銀が上がりますよ!』
と自信の解説でしたが、まさかの銀引きでした。
この一手には、会場だけでなく解説の鈴木九段も驚きを隠せませんでした。
序盤から予想を外すというハプニング。
それだけ、藤井竜王名人の思考は我々の想像をはるかに超えているということでしょう。

解説者も絶句! 鈴木九段を驚かせた藤井竜王名人の一手
39手目、先手の佐々木勇気八段が放った▲1五角。
この一手に、解説の鈴木大介九段は
「すごすぎないですか。なんですかこれは。打ってはいけない角だと教わりましたが」
と驚きを隠せません。
さらに驚きは続きます。
この王手に対する藤井竜王名人の対応を見て、鈴木九段はさらに絶句。
通常であれば△4一玉や△6一玉と逃げるところですが、AIの最善手は△4二歩打でした。
藤井竜王名人は当然のようにこの手を指しますが、鈴木九段は「全然ついていけない」とこぼします。
最近は麻雀に忙しく、若手棋士の最新の研究に追いつけていないのかもしれません。
本日は解説で私たちを何度も笑わせてくれました。

最後は一気の寄せを見せる藤井竜王名人
41手目の▲3七角という一手。
この手までが、両者が研究を重ねてきた定跡だったようです。
この手を見た藤井竜王名人の手が、初めて止まりました。
ここから一瞬、佐々木勇気八段にもチャンスがありましたが、そのわずかな勝機を見逃したことで、形勢は徐々に藤井竜王名人へと傾いていきます。
勝負が決定的になったのは92手目。
藤井竜王名人が△7六桂と指した瞬間、佐々木八段は受けがないことに気づいたようです。
必死の抵抗として▲7七銀打と粘りますが、藤井竜王名人はここから一気に寄せにかかります。
詰ますまでに40手ほどかかる局面でしたが、
藤井竜王名人は残り時間をわずか1分消費しただけで、正確に佐々木八段を追い詰めました。
この勝利で今年度の勝率は11勝1敗。
このままの勢いでいけば、歴代最高勝率の更新も夢ではないかもしれません。
