第10期叡王戦本戦トーナメント2回戦が2月12日に東京・新将棋会館で行われ、

後手の藤井聡太竜王名人(22)が戸辺誠七段(38)に16時42分、82手で勝利し、ベスト4進出を決めました。

次戦鈴木大介九段糸谷哲郎八段の勝者と対戦します。

叡王戦トーナメント表0212

戸辺誠七段 お得意の先手中飛車

これまで両者の対戦はなく、今回が初手合いです。

戸辺七段は「戸辺攻め」と称される激しい将棋を得意としています。

先手番となった戸辺七段は、得意の先手中飛車を採用しました。

一方、藤井竜王名人は中飛車に対して2枚銀の構えを選択。

△5五歩と指して、さらに△5三金と上がることで、飛車を捕獲する狙いを見せました。

藤井竜王名人 お得意の2枚銀

ランチ

藤井聡太竜王名人のランチ戸部誠七段のランチ
豚しゃぶ(梅しそ)弁当
鳩やぐら
『大盤』勝つカレー
棋士カプチーノ(2月は西山女流の似顔絵が描かれています)
棋の音カフェ
さっぱりとした梅しそが豚しゃぶの旨みを引き立て、後味も爽やか。
ほどよい酸味が食欲をそそり、

対局中の集中力を維持するのにぴったりの一品。
将棋会館では大人気のランチです。

「かおる」も食べたい
藤井竜王名人とは初対局の戸部七段。
気合が入っていますね。
棋士カプチーノは、棋士・女流棋士の写真がプリントされています。
3月は木村一基九段になります。

「かおる」も食べたい

先手の攻めを見切る藤井竜王名人

15時ちょうど、藤井竜王名人は龍で堂々と9九の香車を奪いました。

この一手に、解説棋士も驚きを隠せません。

なぜなら、藤井玉の周辺には龍が利き、

さらに歩や桂馬や銀を絡めた強烈な攻め筋が見えているからです。

また、藤井竜王名人はお昼前後に昼休憩を挟みながら、

持ち時間が3時間の将棋では異例ともいえる80分の大長考を行いました。

この時すでに、最終盤まで深く読みを入れていたのかもしれません。

先手の攻めを見切る藤井竜王名人

残り時間が40分しかない戸辺七段は、必死に攻め筋を探ります。

貴重な持ち時間から22分を投入し、4筋の歩を突きました。

これにより攻め駒である5三の歩が除去されてしまいますが、

一直線の攻めでは間に合わないと判断したのでしょう。

しかし、藤井竜王名人はこの対応を見切り、両サイドから攻めに転じます。

73手目、戸辺七段は最後の勝負に出ました。

▲4二とと王手をかけ、後手は4一の金でも3一の角でも取ることができます。

ところが、AIは「3一の角で取らなければならない」と示しました。

2択に迷いなし

しかし、解説棋士にもその理由はすぐには分かりませんでした。

ところが、藤井竜王名人は迷うことなく3一の角で応じます。

そして、その後理由が明らかになります。

角で取らなければ、戸辺玉を詰ますことができなかったのです。

すなわち、この時点で藤井竜王名人はすべてを読み切っていたことが分かります。

この勝利により、藤井竜王名人はベスト4進出を決め、来期のシード枠を確保しました。

実は、この叡王戦では七冠であってもシード枠を与えられません。

ベスト4入りが条件となっています。

再び八冠に返り咲くためにも、シード枠の確保は大きな意味を持つでしょう。

さらに、あと2勝すれば伊藤匠叡王へのリベンジの舞台が整います。