第65期王位戦第4局が8月19日から20日にかけて、
佐賀県唐津市の「洋々閣」で行われています。
藤井王位はここまで2勝1敗でリードしていますが、渡辺九段に押され気味の展開が続いています。
本局では、強さを発揮する藤井王位の姿が見られることを期待しています。
第3局までの成績は以下の通りです。
西日本新聞こども記者の皆さんからの鋭い質問
検分終了後、一般の記者会見に続いて、西日本新聞のこども記者による質問が行われました。
こどもたちからは、大人ではなかなか聞けないような鋭い質問が飛び出しましたので、その一部をご紹介します。
渡辺九段への質問
[こども記者Aさん] 私の父は毎日ビールを美味しそうに飲んでいます。渡辺九段は、そのような毎日の楽しみはありますか?
[渡辺九段] 毎日ではないですが、ビールを飲んで楽しんでいます。プロ野球やサッカー観戦や読書などでたくさんリフレッシュしています。
かおる
渡辺九段は多趣味ですよね!
旅行にもよく出かけますは、カーリングを観戦だけでなく、プレももされます。
[こども記者Bさん] 渡辺九段はぬいぐるみが好きだそうですが、どれくらい持っていますか?一番のお気に入りを教えてください。
[渡辺九段] ぬいぐるみは100個以上、所有しています。お気に入りは、20年以上使っているものですね。5~10個程度あります。
かおる
渡辺九段は、子どもの頃、母やお姉さんの影響もあったのでしょうか。幼少期は、兄弟仲良くぬいぐるみで遊んでいたそうです。
長男が生まれてからは、父と子でそれぞれぬいぐるみを立たせ、そのキャラクターになりきって会話を楽しんでいました。微笑ましいですね。
気づけば、ぬいぐるみの数は100個以上になり、保管場所に困るほどの量になっているそうです。
[こども記者Cさん] 渡辺九段は130万円のPCを購入し、将棋の研究をしていると「まんが 将棋の渡辺くん」で知りましたが、勝負には役立っていますか?今回の王位戦ではPCが活躍しそうですか?
[渡辺九段] 役立っていると思いたいです(笑)。値段が値段なんで、役立っててほしいです。藤井王位とは何回も将棋しているけど、そろそろPCを買い替える必要があるかもしれません。役立ってなさそうです。
かおる
厳しい質問ですね(笑)。
大人にはなかなか聞けない内容ですが、渡辺九段は丁寧に対応されていました。
藤井王位への質問
[こども記者Dさん] 王位戦の対局で藤井王位は、AI判定1対99の不利の状況から大逆転を遂げました、私は集中力に欠けるところがありますが、どのようにしたら諦めない力がつきますか?
[藤井王位] 形勢が苦しいときは、対局中は気持ちが落ち込んでいるところもありますが、そのような状況の中で頑張るのは大変ですよね。でもそのような場面では、一端その苦しい状況を受け入れたうえで、勝つ可能性を高めるには、どのように対応すればよいか考えています。
かおる
くよくよせずに、前向きに物事を考えることが大事ですね。
[こども記者Eさん] 私は人前で話すと緊張してすぐに嚙んでしまいます。どうしたら藤井王位のようにインタビューでスラスラ答えられるようになりますか?
[藤井王位] 私も棋士になるまでは、人前で話しをしたり、インタビューを受ける機会はほとんどなくて、その頃はすぐ緊張して上手に話すことは出来ませんでした。しかし、棋士になってからは、そのような経験も増えてきて、だんだん緊張することなく対応することが出来るようになりました。緊張することは自然なことなので、気にすることなく、経験を積んでいけば、喋れるようになりますよ。
かおる
さすが藤井先生という回答です!
[こども記者Fさん] いつも将棋のことを考えていると思うので、もしかしたら夢の中でも将棋を指しているのでは、と思ったのでが、どうですか?もし将棋の夢を見ているのであれば、どんな夢を見ていますか?
[藤井王位] 実は将棋が夢に出てきたことはないんです(笑)。ただ、夢の中で将棋を指している状況はもしかしたらあったかもしれません。ただ、夢の中なので、局面が鮮明に出てくる感じではなくて、対局しているときの感覚が夢の中で少し再現されるようなことはあるかもしれません。
かおる
藤井王位は8時間以上、寝ていると思いますが、まだ22歳ですから、熟睡しているのでしょう。
1日目午前のおやつ
藤井聡太王位の午前のおやつ | 渡辺明九段の午前のおやつ |
伊藤けえらん、緑茶。 | 呼子夢甘夏ゼリー、アイスコーヒー。 |
京都の和菓子かな? 小豆のこしあんを蒸した米の生地で包んでいます。 「かおる」も食べたい | 皮が丸ごと器になっています。 「かおる」も食べたい |
藤井王位 初の振り飛車採用!
渡辺九段の初手は「7六歩」。
多くの棋士が予想していた「相掛かり」「角換わり」「雁木」ではなく、「矢倉」を選択しました。
渡辺九段は、これまで困ったときに「矢倉」を採用し、苦境を乗り越えてきた得意戦法です。
しかし、藤井王位にはこの戦法が通用せず、しばらく封印していました。
それでも、この重要な対局で、思い切って再び「矢倉」を採用しました。
本局の戦法は、2022年には永瀬九段相手に2局、2023年には佐々木勇気八段相手に1局、
対局した経験があり、十分に研究を重ねてきたと考えられます。
お互いの指し手が早いことから、藤井王位もこの展開を事前に確認していた可能性が高いです。
藤井王位は少し考えた後、プロ入り後初となる中飛車を採用しました。
これまで居飛車を貫いてきた藤井王位ですが、最善手が振り飛車であると判断したのでしょう。
彼の意思表示として、状況に応じて最善を尽くすという決意が感じられます。
1日目勝負メシ
藤井聡太王位のランチ | 渡辺明九段のランチ |
太閤穴子丼&地魚茶碗蒸し | 海鮮丼・ご飯少なめ、サビ抜き |
穴子丼の具材は唐津産です。 「かおる」も食べたい | 渡辺先生、いつものわさび抜きです。 「かおる」も食べたい |
渡辺九段には珍しい2時間37分の大長考
15時22分、藤井王位が角頭を狙って歩を打った局面で、渡辺九段の手がピタリと止まりました。
誤算があったのでしょうか。
渡辺九段がこれほど長考するのは珍しいことです。
角の逃げ道は『8四角』しかありませんが、その際に何か不都合な点を見つけたのでしょうか。
結局、渡辺九段は2時間37分の大長考の末、上図の局面で封じ手を行いました。
現時点での形勢は藤井王位が54%で、ほぼ互角と見られます。
しかし、わずか4%程度の差でも、その違いを敏感に感じ取ったために、
この大長考に至ったと考えられます。
封じ手はほぼ間違いなく『8四角』の一手でしょう。
明日、この局面からどのような展開になるか、非常に楽しみです。
藤井王位は渡辺九段よりも2時間3分多く持ち時間が残っており、
これは藤井王位にとって有利に働くでしょう。