藤井棋聖 永世称号獲得なら記録を大幅更新
第95期棋聖戦第2局が6月17日に新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」で行われ、先手の藤井聡太棋聖(21)が山崎隆之八段(43)に18時39分、111手で勝利し、永世称号獲得まであと1勝となりました。
これまでの永世称号の最年少記録は、中原誠16世名人の23歳11ヶ月です。次の対局で勝利し、永世棋聖を獲得すれば、21歳11ヶ月と大幅に記録を更新します。
次戦は7月1日(月)に愛知県名古屋市中区「亀岳林 万松寺」で開催されます。
後手の山崎先生 振り飛車を採用
序盤では、今季の名人戦でもよく採用された、雁木と振り飛車を両天秤にかける戦法を山崎先生が採用しました。
これに対し、藤井先生は3六歩をつくことで、「雁木なら、とことん攻めるぞ」という意思表示をしました。
ここで山崎先生は、2二に飛車を回しました。向かい飛車といえば、佐藤康光九段が指すダイレクト向かい飛車が有名です。
ダイレクト向かい飛車は角交換もする激しい戦い方ですが、本局の山崎先生は角交換をせずに飛車を2筋に回し、互いの飛車が向かい合う形となりました。
かおる
藤井先生、予想はしていなかったようだけど。
対振り飛車は大得意なので、もう勝ったと思ってたよ。
おやつ
藤井棋聖の午前のおやつ | 山崎先生の午前おやつ |
三色だんご、冷たい抹茶 | あんバターシュー、リンゴジュース |
これ、だんごなんだ! 若い時は、冷たいものが好きだよね。 「かおる」も食べたい | かおるも『あんこ』が大好き 甘さも控えめのようです。 「かおる」も食べたい |
藤井棋聖の午後のおやつ | 山崎先生の午後のおやつ |
ガナッシュブラウニー、アイスティー(アールグレイ)、りんごジュース | 笹だんご(つぶあん)、越後銘菓 河川蒸気抹茶小倉クリーム、ローズヒップ・ハイビスカスティー |
飲み物は定番の2種類! 「かおる」も食べたい | 『あんこ』の連投だ! 「かおる」も食べたい |
プロ棋士が賞賛する一手『3五歩』
対抗形の将棋はじりじりした展開が続くことが多いですが、藤井先生は僅かなスキを見逃さず、一切の妥協をせずに攻めていきます。それが下図の『3五歩』です。
アマチュアにはその凄さがわからないのですが、プロの目から見ると感心する一手のようです。立会人の中村修九段は、これは直前に山崎先生が指した『5三桂』を全否定する手だと解説しています。
藤井先生はこのタイミングで、相当な自信を持って指していたと考えられます。
勝負メシ
藤井棋聖のランチ | 山崎先生のランチ |
のど黒御膳(のど黒のお造り) | 和牛ヒレステーキ |
和食もよく選択する藤井先生ですが、これは美味しいでしょうね。 「かおる」も食べたい | 藤井先生より量が少ないように見えます。 「かおる」も食べたい |
山崎先生の勝負手に対し、一瞬で切り返す藤井棋聖
山崎先生は58手目、勝負手として「6四角」を指しました。この角が4六に出られると少し嫌な感じがするため、藤井先生の対応に注目が集まりました。
しかし、藤井先生はわずか18分で5五歩と突きます。これは角を呼び寄せる一手です。非常に怖い一手に見えます。
なぜなら、呼び込んだ角に対して6七の金が守りから外れることになる上、飛車と金の両取りを狙う4七に銀を打たれるからです。予想通り、山崎先生は下図のように4七に銀を打ちました。
これはまずい展開に見えますが、なぜかこれがAIの推奨手なのです。つまり、AIと藤井先生だけが「これで勝ちだ」と言っているのです。
そこで次のAIの最善手を見ると、なんとタダで取られる5五の位置に『桂馬』を打っています。これはどういうことでしょうか。
確かに、言われてみれば5六の金が前に出て、山崎先生の王様にアタックできて良さそうにも見えますが、飛車をタダで渡してしまっていいのでしょうか。
その後、しばらくして藤井先生はAI通り『5五桂』を打ちました。いつものことですが、藤井先生の飛車は気がつけば取られてしまいますね。信じられない展開です。
最終盤 芸術的な寄せ
最終盤の藤井先生は相手玉の詰みと自玉の危険度を察知するスピードがあまりにも早く、解説のプロ棋士もついていけません。下図の局面では、一見すると千日手に見えました。
かおる
解説の先生方が千日手を示唆したので心配しましたが、藤井先生だけはゴールが見えていたようです。
藤井先生には迷いがありません。山崎先生がどのように対応しても、自分が勝つと読み切っていたようです。
渡辺先生もSNSで「並の棋士なら大逆転も十分にあり得る」と、山崎先生の終盤術を絶賛していました。それくらい難しい最終盤だったのですが、藤井先生は簡単に答えを出してしまいました。
これで次の第3局は永世称号をかけた対局になります。ここまできたら、ぜひ3連勝で決めてもらいましょう。