第66期伊藤園お~いお茶杯王位戦第6局が9月9日・10日に東京将棋会館で行われ、
先手の藤井聡太名人(23)が永瀬拓矢九段(32)に19時34分、151手で勝利。
4勝2敗で王位を防衛、見事6連覇を達成しました。これで通算タイトル数を31期とし、渡辺明九段に並び、歴代4位タイとなりました。

対局場変更
いよいよ、藤井聡太王位と永瀬拓矢九段の熱い戦いが続く王位戦。
決着がつくか、フルセットに持ち込まれるか…運命の第6局が、いよいよ9月10日(火)・11日(水)に東京の将棋会館で行われています。
本来は静岡県牧之原市の「平田寺」で開催される予定でしたが、このたび同市が竜巻で大きな被害を受けたため、対局場所が変更となりました。
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を願っています。
1日目ランチ
藤井聡太王位のランチ | 永瀬拓矢九段のランチ |
「大盤」勝つカレー(棋の音カフェ) パッションフルーツラッシー(rico curry) | キーマカレー大盛りに温泉卵3つトッピング パッションフルーツラッシー2個 ホットコーヒー(rico curry) |
大盤を注文するなんて、さすが藤井王位ですね! 藤井王位が注文されたのは、棋の音カフェの「大盤勝つカレー」。 大きなカツがのっていて、その名の通り食べ応えがありそうです。 rico curryの「パッションフルーツラッシー」は、爽やかな酸味がカレーと相性抜群。 対局の合間に、甘くてさっぱりとしたラッシーで リフレッシュされたのかもしれません。 「かおる」も食べたい | 永瀬九段が注文されたのは、rico curryのキーマカレー大盛り。 しかも、温泉卵を3つもトッピングされたそうで、 スタミナ満点ですね! さらに、パッションフルーツラッシーを2個と、ホットコーヒーも頼まれたとのこと。 甘酸っぱいラッシーと、ほっと一息つけるコーヒーで、 対局への集中力を高めていることでしょう。 「かおる」も食べたい |
天才の角打ち
昼食休憩が明けて、藤井王位が指した一手に控室がどよめきました。
信じられない場所(▲2五角)に角を打ったのです。
一見すると、この手は永瀬九段が何もしなければ、▲3四角や▲2三角成と進んで藤井王位が優勢になる、という筋を狙ったものに見えます。
しかし、こういった「一点集中」の勝負手は、通常、プロの対局では避けられる傾向にあります。
この大胆な一手が、今後の戦いをどう動かしていくのか。
息をのむような展開に、ますます目が離せません!

1日目おやつ
藤井聡太王位のおやつ | 永瀬拓矢九段のおやつ |
チーズケーキ ももジュース | 固めのクラシックプリン 生チョコのロールケーキ ホットティー、ホットコーヒー |
甘くて濃厚なチーズケーキは、対局で疲れた脳に 甘いエネルギーを届けてくれそうですね。 そして、優しい甘さのフレッシュなももジュースで、 口の中をさっぱりさせているのかもしれません。 勝負の後半戦に向けて、しっかり英気を養っている様子がうかがえます。 「かおる」も食べたい | 甘いものを一度に2種類も召し上がって、 対局で使うエネルギーをチャージされているようです。 「かおる」も食べたい |
封じ手は永瀬九段の役目?
この2人の対局では、これまでほとんどの場合、永瀬九段が封じ手をしてきました。
しかし、本局では、79手目を藤井王位が封じるものと予想されていましたが、残り25分というところで▲5五歩と指しました。
これに対して永瀬九段の応手は△6三銀の一手しかないため、すぐに指すと思われましたが、なかなか指しません。
結局、永瀬九段はそのまま封じ手としました。
これは、もしここで指してしまうと、その後の展開が難しくなることや、
藤井王位が封じ手に18時以降の時間を使う可能性、
あるいは藤井王位がすぐに指してきた場合に次の手に時間をかける必要性など、様々なことを考慮した結果でしょう。

2日目ランチ
藤井聡太王位のランチ | 永瀬拓矢九段のランチ |
にぎり上(千寿司) 寿司ネタから貝を除き、穴子と甘えびを追加しています。 | キーマカレー大盛りに温泉卵3つトッピング パッションフルーツラッシー ホットコーヒー(rico curry) |
口の中でとろけるような穴子に、プリッとした食感の甘えび。 そして、新鮮なネタの数々を堪能されたことでしょう。 対局前のひととき、お寿司を味わいながら、 静かに英気を養う姿が目に浮かぶようです。 「かおる」も食べたい | 将棋会館ですが、2日連続同じメニューでした。 「かおる」も食べたい |
互角での大長考
100手目、永瀬九段が指したのは、解説の藤井猛九段が「これだけは打たないだろう」と見ていた△5二歩でした。
この一手に、やや永瀬九段が有利とされていた形勢は、ついに互角に。
「ここから」とファンが息をのむ中、藤井王位の手がぴたりと止まります。
結果的に指されたのは、AIの最善手▲7五銀。
この一手になんと58分もの時間を費やしたのです。
持ち時間が残り2時間半のところから、1時間近くも長考する。そこに、藤井王位の凄みが凝縮されているように感じられました。

後手玉が詰みそうで詰まない?
108手目、永瀬九段は△8八歩と指しました。
これに対し、▲8八同飛と応じると△7六桂が飛車と金の両取りとなるため、
藤井王位は読み通りか、時間をほとんど使わずに▲7九飛と寄ります。しかし、どうもこの手が形勢を悪くしたようです。
対局が進むにつれ、後手玉は2二の金が壁となり、一見すると詰みそうに見えますが、なぜか詰みません。
藤井王位には珍しく、後手玉の寄せに誤算があったのかもしれません。
夕方になり、藤井王位は苦しい局面を必死に立て直し、逆転の可能性を探っているように見えます。

正解は1つ
永瀬九段が放った128手目△5九飛成。
この一手が、藤井王位を土俵際まで追い詰めるように見えました。
だが、この絶体絶命の局面には、ただ一つの勝ち筋が隠されていたのです。
持ち駒は角、香車、桂馬、歩。
人間であれば、最も安価な歩を打つのが定石に見えるでしょう。
しかしAIは、歩でも香でもない、まさかの▲5八桂を最善手と示しました。
そして藤井王位は、この人知を超えた一手を寸分も迷うことなく指しました。
永瀬九段もこの桂馬はノーマークだったに違いありません。
互いの持てる力を尽くした難解な最終盤を、藤井王位がわずかに制し、見事防衛を成し遂げました。
