1. 新潟の地で揺らいだ「終盤の絶対精度」
2026年3月1日、新潟グランドホテル。
日本海を望むこの地で、将棋界の歴史が塗り替えられる瞬間を我々は目撃しました。
「藤井聡太は終盤で間違えない」
――将棋界を支配していたこの不可侵の神話が、静かに、しかし決定的に崩れ去ったのです。

第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局。
絶対王者・藤井聡太棋王が、挑戦者・増田康宏八段に逆転負けを喫しました。
これは単なる一敗ではありません。
藤井棋王が王将戦と合わせ、二つのタイトルを同時に失う瀬戸際であるダブルカド番に追い込まれたという、衝撃的な歴史的転換点です。
盤上の絶対精度を誇った王者に何が起きたのか。
そして、牙を剥いた挑戦者の変貌とは。
午前のおやつ
| 藤井聡太棋王の午前のおやつ | 増田康弘八段の午前のおやつ |
| 苺のチーズケーキ アイスレモンティー | 苺のパリブレスト クリームソーダ |
| 春らしい鮮やかな苺が、 真っ白なチーズケーキの上に宝石のようにあしらわれています。 新潟のブランド苺「越後姫」を思わせる、 瑞々しく愛らしい佇まいです。 「かおる」も食べたい | 香ばしく焼き上げられた生地の中に、 新潟が誇るブランド苺の濃厚な甘みと酸味が凝縮。 そこに滑らかなカスタードと生クリームが重なり、 噛むたびに贅沢な幸福感が広がります。 「かおる」も食べたい |
2. 増田八段の「攻めの工夫」と角換わりの新機軸
本局、後手番の増田八段が選んだのは、現代将棋の最先端を行く角換わりでした。
しかし、その中身は従来の常識を覆す「牙を隠した猛獣」のような構想でした。
増田八段は「△4二金・△3二玉型」という低く構えた陣形を採用。
そこから「△7五歩」と銀の頭を叩き、「△5五銀」と躍り出る積極策を見せました。
「前期は消極的な将棋が多かった」と反省した男は、王者を待ち受ける受動的な「対局者」ではなく、
自ら獲物を狩りに行く「ハンター」へと変貌を遂げていたのです。
「△7五歩から△5五銀(40手目)は想定していた局面でした。……一応、本譜は後手ながら攻める将棋になったので、用意の作戦としてはまずまずだったかなと思います。」(増田八段)
藤井棋王が得意とする土俵にあえて乗り込み、自らの意思で乱戦へと引きずり込む。
その独創的な序盤戦術が、絶対王者の構想を少しずつ、しかし確実に狂わせていきました。
ランチ
| 藤井聡太棋王のランチ | 増田康弘八段のランチ |
| 海の幸重御膳 | 大人様ランチ(サーロインステーキ) ミニ珈琲フロート |
| 艶やかな新潟県産米の上に、寒鰤、南蛮海老、真鯛など、 日本海が誇る地魚が所狭しと並びます。 宝石を散りばめたような美しさが、 勝負の緊張感を一瞬忘れさせてくれます。 「かおる」も食べたい | 懐かしの「お子様ランチ」のワクワク感をそのままに、 内容は極めてリッチ。 彩り豊かな副菜が添えられ、 一口ごとに異なる食感と味わいが楽しめる、 「多角的な攻め」を彷彿とさせる一皿です。 「かおる」も食べたい |
3.AIも驚愕、絶対王者の「幻の勝ち筋」と終盤のミス
本局最大の衝撃は、勝利の女神が藤井棋王の手を離れた103手目に集約されています。
検討陣に加わっていた藤井猛九段が指摘したのは、あまりにも冷徹な「幻の勝ち筋」でした。
藤井棋王がここで「▲3四桂」と打っていれば、藤井棋王の勝勢は揺るぎませんでした。
この桂馬は3三の金を釘付けにし、後手玉が5三へと脱出するルートを完全に封鎖する致命的な一撃となるはずだったのです。
AIの評価値も勝勢を支持していましたが、藤井棋王が選んだのは「人間的に安全」に見えた「▲2二角」。
この一瞬の心理的隙を増田八段は見逃さず、「△3二金」と粘り強く引いて逆転の回路を繋ぎました。
「(△8四桂が)当初考えているよりも受けづらい気がしたので、見通しが甘かったと感じていました。……終盤のいちばん大事なところでやってはいけないミスが出てしまったので、こういうことがないようにしなくてはいけないと思います。」(藤井棋王)
絶対王者の計算を狂わせた「見通しの甘さ」。
精密機械と称された王者が、最も得意とする終盤で「やってはいけないミス」を認めた瞬間、会場には戦慄が走りました。
4. 将棋界「混戦時代」の幕開けか、それとも王者の逆襲か
増田八段が2勝1敗とタイトル奪取に王手をかけたことで、将棋界の景色は一変しました。
藤井棋王が王将戦と棋王戦で同時にダブルカド番に追い込まれたという事実は、絶対政権の終焉を予感させるに十分な衝撃です。
増田八段がこのまま「覚醒」した勢いで新時代の扉をこじ開けるのか。
あるいは、崖っぷちに立たされた絶対王者が、そのプライドを懸けて絶壁から立ち上がるのか。
歴史が動く第4局、我々は「神話の続き」を目にするのか、それとも「新たな伝説」の幕開けを目撃するのでしょうか。
